自然資産の維持・継承
“よそ者”の応援に期待 |
県央を流れる緑川。奥へひたすら分け入った源流地帯に、緑仙峡の自然美が広がる。峡谷の景観は四季を通じて楽しめるが、一番の見どころは山々を彩る秋の紅葉だ。訪れた人は有名観光地とは一味違う飾り気のない自然を満喫できる。そしてこの地に暮らす人たちも、いにしえの時代から自然と折り合いを付けながら暮らしてきた。
ただし、自然資産の維持、継承の面では課題が山積する。
まず、近年の台風や大雨が山川を打撃。文化財や住民の安全をも脅かすようになった。特に、「穿(うげ)の洞窟」が四年前に土砂で埋まったのは痛手だ。民話が豊富な当地のシンボルで、今も親しく敬われているが、かつて自由に行き来できた空洞の奥はふさがれたままだ。
もう一つは高齢化に伴う若年層のマンパワー不足。せっかくの観光資源を十分に生かせずにいるばかりか、災害の復旧にも人手を欠く状況だという。
緑仙峡は廃校を宿泊施設として再生するなど“村おこし”の先駆者だったが、現在は自力で次の一手を打てずにいる。人手とアイデアの両面で他地域の協力は欲しいが、奥ゆかしい住民ゆえにあからさまな要請もできない。それが実情だ。
もっとも応援団がいないわけではない。穿の洞窟の土砂の除去作業には「緑川の清流を取り戻す流域連絡会」の有志が二年連続で駆け付けた。会長の濱崎勝さん(六三)は河口の「天明水の会」の立ち上げ人で、緑仙峡の人たちとは植樹が取り持つ十数年来の知己だ。「当地の皆さんは守りに懸命ですが、時には別の角度から“壊す”視点も必要。それができるのは外部の人間です。街づくりにはよそ者と若者、さらに人目を気にせず突っ走る者が不可欠。流域にはいろんな人がいます。今後も支援は続けますよ」と濱崎さん。また「地域が元気になるには、一万円札を持って大勢で遊びに行くのが一番。とにかく皆で応援しましょう」とも。
緑仙峡の行く末は、忘れ去られた秘境か、それともケアの行き届いた珠玉の穴場スポットか―。それは私たち県民のかかわり方次第ともいえるだろう。
紅葉は今年も圧巻の一言。そして、絶景の下では今も声なきSOSが発信されている。 |
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「穿の洞窟」は土地に伝わる民話のシンボル。
かつて行き来できた空洞内は土砂で埋め尽くされた(上) |
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