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テーマ「身近なエコライフ」 荒尾・玉名・菊池・山鹿・エリア


 消費社会と言われて久しいが、資源の無駄遣いに異を唱え、“シンプルな生活”を営む人たちがいる。身辺には必要なものしか置かず、買い過ぎない、使い捨てをしない、不必要なごみは出さないといったスリムさが身上だ。我慢や節制を強いられると思われがちだが、実際は楽しいとか。小さな積み重ねの延長線上には環境負荷の軽減という大きな目的がある。その一こまを菊池郡市で垣間見た。

環境に負荷かけない
温室効果ガスの排出削減
自然体生活で貢献も
“最初の一歩”が肝心
 地産地消を推進すれば、地球温暖化の防止につながる―。九州農政局消費生活課の中田哲也課長は、そのような説を「フード・マイレージ」と呼ばれる指標を用いて唱える。「食料の供給構造を物量と輸送距離からとらえようとして考え出された指標で、式は重量×距離、単位は『トン(またはキログラム)・キロメートル』となります」
 食料の輸送距離が長いほど、トラックなどの輸送機関が排出するCO(二酸化炭素)の量が増える。だから、生産地の近くで消費する地産地消なら温室効果ガスの排出量も減り、温暖化防止につながるというわけだ。
 「今の食べ物の多くは生産者の顔が見えません。地元で流通させ、消費する生活スタイルに変えれば、消費者は安心を得られるばかりか、環境負荷の低減にも貢献できます。フード・マイレージをきっかけに、そんなイメージを膨らませてほしいですね」と中田課長は期待する。
 今日、私たちの暮らしで大きなウエートを占める「食生活」と「消費生活」。そのいずれもが多大な無駄とごみを垂れ流している。環境への負荷はいかばかりか。
 頭では憂慮しても、ひたすら利便性を追求し、物欲や食欲を満たそうとする生活スタイルからなかなか抜け出せない。私たちの大方はそんなところだろう。
 しかし、一方には好んで“シンプルな生活”を送っている人たちが存在する。今回、菊池郡市で見聞きしてきたそのような人たちの日常は、実に自然体で楽しげだった。
 環境への負荷を極力抑えた身軽な暮らしー。物欲・食欲まみれの目から見れば、確かにハードルは高い。問題は最初の一歩をどう踏み出すかだが、やってみれば、意外と簡単なのかもしれない。

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マイ箸作り(右上)、マイバッグの店頭キャンペーン(右下)、手作り豆腐名人のおばあちゃん(左)






地産地消の“エコ生活”
地元の人材がフル稼働


NPO法人「きらり水源村」事務局長 小林和彦さん(33)

施設の食堂で宿泊客と談笑する小林さん(左端)、NPO監事の赤星征一さん(右端)
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 菊池市北東部の山間地に「きくちふるさと水源交流館」が開設されたのは平成十六年四月。閉校となった旧菊池東中の木造校舎を活用した、農業と自然、地産地消の「食」を体験できるグリーンツーリズム施設だ。
 運営母体のNPO法人「きらり水源村」の事務局長、小林和彦さん(三三)は埼玉県幸手市の出身。言うなれば“外来種”だが、地域のじいちゃん、ばあちゃん相手に流ちょうな熊本弁を操る。東京でのNGO勤務を経て、二年間海外を放浪。帰国後に知人を訪ねた菊池でNPOが発足。立ち上げからかかわることとなり、三年前に移住。今ではすっかり“ネーティブ”だ。
 地産地消を体感できる親子の催しは、月に一回の「おいしい村づくり」。参加者は一泊で田植えや稲刈りなど季節の農家の暮らしを体験し、収穫物を味わう。
 また、施設の食堂では地元産の食材で作られた料理を提供。豆腐やこんにゃくなどの加工品も近所のばあちゃんのお手製だ。
 「自分たちで作った作物を皆で食べるというこの地の暮らしを大事に守っていこう、そして訪れた人にも体験してもらおうというコンセプトでやっています。これこそ地産地消ですね」と小林さんは説明する。
 また、「ここのNPOの特色は全地元民がかかわり、一部の人は“きらりびと”として農作業などを指導していること」。自給自足ぶりも徹底している。「百姓衆は百の仕事ができる人たち」と小林さんが敬意を込めて言うように、施設内に設置された五右衛門風呂やかまどなどは外注ではなく、地元民の技能で作られたものだ。
 今後は「森林を保全しつつ果樹園などの農地を開墾するアグリフォレストリーや、ITを産直ビジネスなどに掛け合わせた若者が働ける環境づくり」を視野に入れている。「二〇〇七年は気候変動や天然資源の枯渇で世界が経済重視から環境重視にシフトした年」と唱える小林さん。追い風を感じているようだ。



捨てない「リメーク」術
「手間ひま」を楽しんで


ハンドメード工房経営 内田早苗さん(41)

竹製の箸に絵付けをしながらも、内田さんはリメークの楽しさを語り続けた
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 「これ全部手作りなんですよ」。菊池郡菊陽町でハンドメード工房を営む内田早苗さん(四一)は、店舗兼アトリエをぐるりと見回してそう言った。所狭しと陳列された作品は言うに及ばず、建物も庭もすべて廃材を用いて自作したという。床には船の甲板、引き戸や窓には解体家屋の“遺留品”を流用。さながらトム・ソーヤーの秘密基地だ。
 本職は「ペインター」。紙や布だけでなく、石、木片、金属とさまざまな素材をキャンバスに仕立てて絵付けする。その本職にいつしか「リメーク」術が追加された。すると、ごみ箱行きの烙印(らくいん)を押された品々が息を吹き返す。例えばペットボトルの蓋(ふた)。綿を詰め、ペイントをあしらった布をかぶせるだけで「待ち針刺し」が出来上がる。この人の手に掛かって第二、第三の人(物)生に船出した“無用の長物”は枚挙にいとまがない。「とにかく、捨てないで持ってらっしゃいよ」。それが内田さんの口癖だ。
 実生活でも無駄は一切排除。残ったおかずや食材は、次の食事でひと手間加えて別メニューに変身させる。箸(はし)も当然手作りだ。外出時には携行し、飲食店でも気後れすることなく「“マイ箸”を使ってます」。アトリエで開くクラフト教室の生徒にも推奨。箸と一緒に箸袋の作り方を手ほどきしたところ、どっと主婦のシンパが増えたとか。
 内田家ではあまりモノを買わない。「それ、つらくないですか?」と水を向けると、「頭の引き出しはリメークのアイデアでいっぱい。つらいどころか楽しくて」と切り返された。さらに、「ちょっと手を掛ける時間すら、長いと勘違いしている人が多過ぎます。だから買った方が早いってことに。電気やガスがストップしたら、日本人は何もできない人種になってしまうんじゃないかしら」とも。内田さんが今、生徒の子どもたちに懇々と教えているのは「手間ひま」だ。




シンプルな暮らしを


マイバッグ生活の勧め
ファッション性も重視


「菊池市マイバッグ運動推進市民会議」会長 菅 次子さん(57)
菊池市環境課主事 山本可南子さん(25)

サニー菊池店のレジでマイバッグを広げる菅会長(右)と山本さん(左)                
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 レジ袋はいりません―。消費社会の今日、一人一人が実行できる身近な省資源活動がマイバッグ運動だ。
 「菊池市マイバッグ運動推進市民会議」が発足したのは平成九年。以来、スーパーなどの小売店で店頭キャンペーンを展開してきた。現在は月に一回、午後五時から一時間程度、六店舗でレジ袋の辞退とマイバッグの携行を呼び掛けている。
 しかし、「なかなか浸透しませんね」と事務局の同市環境課は漏らす。キャンペーン時に調査する持参者数は少しずつ増えているが、全店舗合計で毎回二十人前後にとどまるのが実情。「啓発にも限界があるので、事業者の努力に期待します」と同課。
 こうした中、スーパーの「サニー菊池店」は、今年六月からレジ袋辞退者に二円引きを実施。「地球温暖化抑制のため、お客さまとともに意識を変え、行動を変える取り組みです」と上田昭隆店長(四七)は説明する。
 ただ、マイバッグ推進市民会議の菅次子会長(五七)は、「アメをもらったから協力するとの考え方からは卒業しなければなりません」と主張。「店舗も私たち消費者も、同じ生活者として資源の無駄遣いや地球温暖化を考える人であってほしい。そうすれば、おのずからレジ袋不要へと社会が動くはず」と唱える。
 同市環境課主事の山本可南子さん(二五)は入所以来マイバッグ運動に携わり、今ではすっかり“推進派”だ。「友達は私の前ではレジ袋をもらえなくなったようです」。伝道師としての役割も板に付いてきた。
 そんな山本さんは、ファッション感覚でマイバッグを携行する部分もあるという。「いろんな種類があってかわいいですよ」。サニー店内でも「ファッションや一種のステータスとして生活の中に取り入れる方が多くなりました」と上田店長。
 普及拡大の突破口は、消費者に発想の転換を促すことにあるようだ。

荒尾・玉名・菊池・山鹿「身近なエコライフ」


次回は1月30日(水)に
掲載予定
 熊本日日新聞社は、環境問題について1人でも多くの人に関心を高めてもらい、具体的な行動につなげようと「くまもとエコモーションキャンペーン」を展開しています。本年度からは、「地域の環境」をテーマに県内を6つのエリアに分け、保全活動を進める団体や個人を通じて、各エリアの環境問題の課題と解決法を探っていきます。


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