突然ですが、「秋葉原」と聞いてどんな街を思い浮かべますか?

ホビーショップやアニメ・ゲームのグッズ専門店、パソコンショップでいっぱいのビルがひしめき合い、ネコ耳のメイドさんが客引きをしていて、全国各地に姉妹グループを持つ「会いに行けるアイドル」の活動拠点がある。まさにサブカルチャーの街ですね。

しかし、秋葉原に何をしに行くのかという質問に、「八百屋を回ります」と答える人がいるのです。はて、秋葉原に八百屋さんなんてあったでしょうか。

答えは、電気街口から出た先のJRの架線下。ビルの一階にびっしりと小さな店が店台を連ね、市場を作っています。店々の台の上を商品が埋め尽くし、台の奥には店番のお姉さんやおじさんが。お客は台の上いっぱいの商品を睨め回しながら、欲しいものや珍しいものを探しています。

なるほど確かに、この商品が野菜であるならばさながら八百屋さん。ところがどっこい、この商品、なんと電子機器の部品なのです。

「秋葉原電気街」ともいうように、かつては大型家電量販店が立ち並び、電子機器の部品専門店が軒を連ねる「電気の街」だったのです。昔からある大型家電量販店は1店を残すのみとなり、かつて電気屋や部品屋がいっぱいに詰まっていたラジオ会館がホビーショップに占められても、電気の街としての秋葉原もまだ健在しているのです。

電子部品のお店でよく見られるのはコンデンサや抵抗器(写真はラジオデパート内・シオヤ無線)。中学校で技術の科目があった方は覚えておいででしょうか。電子機器には欠かせない、小さくてそれはそれは種類の豊富なこの部品をバラ売りしているのですから、初めて部品市場を見る方は驚くことでしょう。

それ以外にもスイッチになる部品やLEDランプ、電線と電線を繋ぐコネクターなど、電子機器を構成するありとあらゆる部品が、その規格やメーカー、価格の札と一緒に店台を埋め尽くしています。電流や電圧をはかる測定器だけや電線コードだけを扱う専門店も複数ありました。

もっと大きな専門店もあります。メイド喫茶が多いエリアへ信号を渡ると、電線や資材を扱う専門店、ネジや工具、端子の専門店などが、市場よりも大きな店舗でポツポツと見られます。小さな店舗がびっしり詰まったラジオデパートというビルもあり、その中には真空管の専門店や、電子機器のボディーとなる、多種多様な大きさのケースを取り揃えたお店も。

もう少し奥へ進むと、なんと上は3階、下は地下1階まで所狭しと棚の並ぶ専門店が。極小のチップ型抵抗器やエレキギターを自分でカスタマイズするための部品、電子基板を作る基材なんかもたくさん揃っています。

メイド喫茶も入っているビルの1階には、お客さんがすし詰め状態。壁を成すほどびっしりと並んだ引き出しが、その店の在庫の豊富さを物語っています。

これだけお店があれば、よく使われる部品であれば複数の店舗にあったり、店舗ごとに値段が違ったりするはず。逆に、珍しい部品であれば店舗によってあったりなかったりも。そのため、ラジオなどの無線機器やLEDを使った作品や、とにかく電子機器を1から作ろうという人は、これらの電子部品の専門店を回って品定めをするわけです。

地方の人でもやみつきになれば、さしあたって必要な部品がなくても東京へ来るたびに何かおもしろい部品はないか、と八百屋を回らなければ気が済まなくなるようですよ。

さて、電気街の外れの方へ足を進めると、バス通り沿いに面白いお店が。

やはり部品やコードなどをたくさん取り揃えているのですが、他のお店と違うのは、メーカーや規格がはっきりしない商品もあるところ。いったいどういうことでしょう。

聞くと、このお店はどこから流れてきたのかわからない中古の部品や製品を扱ういわゆるジャンク店(写真は日米商事 電子部)。安いけれどその代わり、正確に作用するかどうかは保証されません。

それにしては品揃えが豊富だし、在庫数も多いし、いったいどうやって仕入れているのか……。それは聞かない約束です(笑)。

テキスト/まるみつ