メディカルインタビュー 精神科編

厚生労働省の調査によると、65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”になっているそうです。もの忘れと認知症の違いや、認知症の症状、治療法について聞きました。

―もの忘れは老化現象の一つでしょうか。

小山 人は年齢を重ねると、脳の老化に伴い、誰もがもの忘れをしやすくなります。まずは、もの忘れが老化によるものか、病気によるものかを見極める必要があります。例えば、本人に「最近、もの忘れがひどくなった」との自覚があり、忘れた内容を出来事のヒントなどで思い出すことができる場合は、脳の老化(正常老化)によるものと考えられます。一方、認知症(病気)によるもの忘れは、脳の神経細胞が壊れ、脳萎縮が起こることが原因といわれています。そのため、記憶全体が脳からすっぽりと抜け落ち、ヒントがあっても思い出すことが難しくなります。また、もの忘れの自覚がない場合が多いため、判断力の低下とともに日常生活に支障を来たすこともあります。誰かに物を盗られたといった妄想、いるはずのない人や小動物が見えるなどの幻覚、怒りっぽくなり攻撃的な態度を取るなど、もの忘れ以外の症状が現れる場合もあります。

―認知症はどれくらいの割合で発症するのでしょうか。

小山 厚生労働省の2012年の調査によると、65歳以上の認知症の有病率は推計で15%。約460万人が認知症であり、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されています。65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍となる計算です。認知症を引き起こす病気には、脳血管性認知症やレビー小体型認知症などさまざまな疾患がありますが、もの忘れ(記憶障害)を主症状とするアルツハイマー型が全認知症の約6割を占めています。

―検査の流れと治療法について教えてください。

小山 初回受診で検査、診断、治療まで行います。主な検査内容は、認知機能(記憶)検査、頭部画像(CT)検査です。必要に応じて血液検査なども実施します。患者さんのご家族とは別室で話を伺い、患者さんの状態を正確に把握します。治療は薬物療法が中心になります。アルツハイマー型認知症の場合は、抗認知症薬を1年間服用することで記憶の中枢である海馬の萎縮を45%抑えられるなどの報告もあります。検査や治療に関わる費用は全て保険診療で、介護保険導入や医療費助成なども病院で相談することが可能です。患者さんがその人らしく、希望する暮らしを長く送ることができるよう、まず一歩を踏み出し、早めに受診することが大切です。詳しくは専門医にご相談ください。

ソラクリニック 院長 小山一静氏

ソラクリニック 院長 小山一静氏

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