メディカルインタビュー 産婦人科編

出産経験のない妊婦さんは特に、妊娠中の行動や症状への対応に迷うことがあるでしょう。今回は、緊急性の高い症状とその後の対応について、詳しく話を聞きました。

―妊娠中に気を付けておくべき症状を教えてください。

蓮田 いくつかありますが、特に注意していただきたいのが、腹痛と性器の出血です。この2つの症状で考えられるのが、「切迫流産」「切迫早産」「胎盤剥離」です。

―「切迫流産」「切迫早産」とは、どのような状態のことでしょうか。

蓮田 そもそも流産とは、妊娠22週未満でお産を迎えることを指し、現代の医学では生まれた赤ちゃんを救うことはできません。早産とは妊娠22~36週のお産のことで、生まれた赤ちゃんの多くは未熟です。未熟の度合いが強いと、脳に後遺症が残ることがあります。また、肺が未熟なために十分な呼吸ができず、人工呼吸器が必要になることもあります。このほか、哺乳の力が弱かったり腸の働きが不十分だったりすると、点滴を受ける必要があります。わが子の小さな口に呼吸のチューブが入っている姿、細い腕に点滴の針が指してある姿は、お母さん方にとってつらいものです。「切迫流産」は、流産になるかもしれない黄色信号の状態、「切迫早産」は、早産になるかもしれない黄色信号の状態です。この段階で早く対処することが、流産や早産を防ぐ上で大切になります。

慈恵病院 副院長 蓮田 健氏  九州大学医学部卒業。九州大学病院、国立病院機構九州医療センターなどで産婦人科勤務

―「胎盤剥離」について教えてください。

蓮田 胎盤が剥離する病気のことで、正式名称は「常位胎盤早期剥離」といいます。胎盤は子宮の壁に付いていて、赤ちゃんに酸素や栄養分を送る大事な役割を持っています。赤ちゃんが生まれる前に胎盤が剥がれると、赤ちゃんの状態は急速に悪くなります。後遺症が残るほか、最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。また、母体の血液に異常な物質が流入し、母体の生命が危うくなることさえあります。妊娠中のトラブルとしては最も深刻で、緊急の対応を必要とする病気です。

―妊娠中の腹痛や出血は、体のSOSなんですね。

蓮田 はい。妊婦さんによっては、出血や腹痛があるのに、「少しの我慢は必要だろう」と考え、様子見する方がいらっしゃいます。病院に到着した時点で赤ちゃんが亡くなっているケースの中には、実は何時間も前から出血や腹痛の症状が出ていた、ということもあります。自分が我慢したことで、赤ちゃんや自分自身が重症の病気になってしまっては、大きな悔いを残すことになります。腹痛や出血の症状が出たら、まず最寄りの産婦人科にご相談ください。

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