メディカルインタビュー 精神科編

強い恐怖感を伴う動悸(どうき)やめまいなどの発作が唐突に起こる「パニック障害」。身体的な異常はなく、原因が分からずに悩んでいる人も多いようです。治療法などについて専門医に聞きました。

─パニック障害とは何ですか。

宮谷 突然起こる激しい動悸や発汗、息苦しさ、身震い、めまいなどの発作とともに、「死んでしまうのではないか」というような不安や恐怖感に襲われる病気です。10分から長くても1時間以内に治まり、心臓や肺の病気を疑って病院を受診する人もいます。しかし、パニック障害による発作(パニック発作)は、不安感から生じる自律神経の高ぶりによって現れるので、身体面に異常は発見されません。原因が分からないため、さらに不安を増す患者さんも多いようです。詳しい理由は分かっていませんが、男性より女性の方が多いといわれています。年代は、思春期後半以降と幅広く、働いている人や心身が疲労している人に多いのが特徴です。

─診断と治療の方法を教えてください。

宮谷 パニック障害の診断は、発作の原因が他の病気によるものではないことを確かめた上で、問診を中心に行います。治療は、抗うつ薬のほか、発作を抑える抗不安薬を、依存性に注意しながら併用することもあります。パニック発作で命を落とすことはありませんが、何回か繰り返すうちに「また発作が出たらどうしよう」という予期不安を抱き、外出や車の運転などを避けるようになることがあります。

光の森メンタルクリニック 理事長/院長 宮谷 高史氏

光の森メンタルクリニック 理事長/院長 宮谷 高史氏

─発作への対処法はありますか。

宮谷 まず抗不安薬を服用します。そして次に呼吸を整えることです。人は息をゆっくり吐くことでリラックス状態に導かれます。具体的には、4つ数えながら息を吸い、7つの間息を止め、8つかけて息を吐く方法です。大体はこれで発作が落ち着くことが多いのですが、それでも治まらないときは、うずくまって防御姿勢を取る方法もあります。パニック発作の回数が落ち着いてきたら、少しずつ抗不安薬の量を減らしていきます。

─家族がパニック障害になった場合、注意すべきことは。

宮谷 パニック障害は「本人の気の持ちよう」と思われがちですが、症状の根本は気持ちでは対処できない不安感です。「早く良くなれ」などの言葉をかけず、温かく励ますことが大切です。治療のゴールは、患者さんが元の生活を送れるようになることですので、様子を見ながら、段階的に運転や外出の練習を行い、徐々に予期不安を軽くしていきます。また、原因となる心身の疲労や心痛を和らげ、根本的に改善していくことが大切です。詳しくは専門医にご相談ください。

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