[メディカル百科]産婦人科編

開腹しない分、体への負担が少なく入院も短期間で済む「子宮鏡下手術」。特に、仕事や家事、育児に忙しい年代の患者さんにとっては治療しやすい手術法となっているようです。専門医に詳しく聞きました。

─「子宮鏡下手術」について教えて下さい。

子宮鏡下手術は、腟から子宮の中に内視鏡カメラを挿入して行う手術です。カメラの先端には針金のような装置が付いています。そこに通電することで、針金が電気メスとして機能し、腫瘍などを切り取ることができるようになっています。手術は、カメラとつながった液晶モニターを見ながら進めていきます。

─どのような病気に対して行う手術ですか。

子宮鏡下手術は、子宮の内側にできる良性腫瘍に対する手術が中心になります。例えば、30代、40代に多い子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどです。カメラで筋腫やポリープを観察しながら、先端にある針金を当てて通電させ、少しずつ削り取っていきます。この操作を繰り返して腫瘍を摘出します。手術時間は、摘出する腫瘍の大きさにもよりますが、20分~1時間程度です。出血も多くありません。

─この手術法のメリットは。

子宮鏡下手術では、開腹手術のようにおなかに大きな傷を作ることがありません。したがって、体に負担がかかりにくく、術後の痛みも比較的少なくて済みます。また、おなかに傷痕が残らないため、美容上も優れています。
入院期間も短期間で済みます。ほかの手術法は1週間以上の入院が必要となる場合もありますが、この手術法だと手術の前日に入院し、手術翌日には退院できます。軽い家事やデスクワークなら、早ければ退院翌日には可能です。筋腫やポリープで手術を受ける女性の多くは、ちょうど仕事や家事、育児に忙しい年代です。長い入院が難しい方も少なくないため、短期入院で済む子宮鏡下手術は喜ばれます。費用面でも、他の手術に比べて少ないのもメリットです。

─デメリットや、この手術法が適さない人もいますか。

この手術の副作用としては、内視鏡の機械が子宮を突き抜けてしまう「子宮穿(せん)孔」や、子宮内の感染などが起こることもあります。しかし、いずれも頻度としては低いトラブルです。また、内膜ポリープならほとんどの場合摘出できますが、子宮筋腫については、筋腫の大きさや筋腫ができている場所によってはこの手術が不向きな場合もあり、全ての患者さんに対応できるというわけではありません。子宮鏡下手術が可能かどうかは、産婦人科を受診し、ご相談ください。

慈恵病院 理事長・院長 蓮田 健氏
九州大学医学部卒業。九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務