[メディカル百科]神経内科編

頭部の打撲などが原因となり、強い頭痛や吐き気を催し、進行すると死に至るケースもあるという慢性硬膜下血腫。詳しい症状や検査方法について、専門の医師に聞きました。

─慢性硬膜下血腫とはどんな病気のことを言うのですか。

脳と頭蓋骨の間にある硬膜下腔(くう)に出血が起き、血がたまる病気のことです。主な原因は頭部打撲。このうち、打撲から3日ほどで発症するものを急性硬膜下血腫、2週間から3カ月ほどの時間をかけて出血するものを慢性硬膜下血腫と言います。

─具体的にどのようにして起こるのですか。

慢性硬膜下血腫の原因となる打撲の程度はさまざまです。壁に頭をぶつけるといった比較的軽い打撲から、交通事故などによる強い打撲、あるいは記憶にないほどのささいな打撲が原因となる場合もあります。認知症の人や、泥酔状態で転倒した場合などは、打撲の記憶がないこともあります。症状としては、頭に対する何かしらの衝撃によって、脳の表面にわずかな出血が起き、それが少しずつ大きくなります。そして2週間から3カ月後に、強い頭痛、手足のまひ、吐き気や嘔吐(おうと)、言語障害、思考力の低下などが現れるようになります。血腫による脳の圧迫が進行して、意識障害や呼吸障害などが生じる脳ヘルニアの状態まで達すると、死に至ることもあります。

西村内科脳神経外科病院 医師 長野 祐史氏

─検査方法や治療法を教えてください。

CT検査が有用です。しかし頭部打撲の直後では、異常が認められないことがあり、経過観察となります。見つかった血腫が小さくて症状がほとんどないときも、自然治癒を期待し、経過観察が必要です。血腫が消失するのを確認するまで、患者さんの状況に合わせて1~2週間ごとに頭部CT検査を行います。逆に血腫が大きくなって、重い症状が出た場合は、外科的な手術が必要になります。

─頭部を打撲したときの注意点は。

普段と違う様子に、本人や周囲が気付くことが大切です。高齢者はあまり自ら症状を訴えず、「1カ月ほど表情に変化がない」「寝てばかりいる」などの家族の訴えで来院される場合もあります。特に一人暮らしの人は、寝込んでしまうと発見が遅れてしまうので危険です。若い人も含めて、頭部を打撲した後は症状に留意し、気になる場合はすぐにかかりつけ医を受診してください。

脳の検査画像。白色の三日月状の部分が血腫