[メディカル百科]歯科編

いつまでも生き生きとした人生を送るには、高齢になっても健康的で自立した生活ができる「健康寿命」を延ばすことが重要です。近年注目を集める、口腔環境を整えることで健康寿命を延ばす診療について話を聞きました。

─健康寿命を延ばすには口腔環境を整えることが大切のようですね。

“長寿大国”日本の2019年の平均寿命は、男性81.4歳、女性87.5歳となっています(厚生労働省「令和元年簡易生命表」)。一方で、健康寿命は男性が72.7歳、女性が75.4歳。つまり何らかの疾患を抱え、健康に過ごせない期間は男性で約9年、女性で約12年ということになります。この期間をできるだけ短くし健康寿命を延ばすには、おいしく食事が取れるような口の中の環境づくり、口内からの感染を防ぐための歯周病予防、定期的な歯科受診がとても大切です。

─歯周病などによるリスクは、どのようなものが予測されますか。

脳梗塞の発症リスクは5倍以上とされ、動脈硬化や肺炎、糖尿病などを悪化させる危険性や、妊婦では低体重児出産につながるともいわれています。奈良県医師会の調査で、適切な口腔ケアを継続している人とそうでない人を比較したところ、口腔ケアをしている人のインフルエンザ罹患(りかん)率が10分の1に減少したそうです。歯の残存数と転倒、骨折や認知症発症のリスクについても研究が進み、歯が20本以上残っている人に比べ、そうでない人の認知症リスクは1.9倍、転倒骨折は2.5倍というデータもあります。このようなリスクをもたらす虫歯や歯周病は、治療をしても元の健康な歯や歯茎には戻せません。そのため、家庭での適切なブラッシングに加え、できれば1カ月に1度の予防のための歯科受診を推奨しています。

坂口歯科医院
院長 坂口 倫章氏

店舗情報

坂口歯科医院

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