手術により改善しうる歩行障害
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[メディカル百科]脳神経外科編
歩行障害、尿失禁、認知症などの症状が現れる特発性正常圧水頭症。検査や治療方法について専門医に聞きました。
─特発性正常圧水頭症とは。
脳の内外にあるくも膜下腔には、脳脊髄液が流れています。その流れが滞り、 脳室に脳脊髄液がたまって膨らんだ状態を水頭症といい、原因不明のものを、特発性正常圧水頭症といいます。脳室が膨らむと、主に下肢を動かす脳の領域である前頭葉の循環が悪くなるため、歩行障害、尿失禁、また認知症などの症状が現れます。歩行障害には(1)小刻みに歩く(2)膝が上がらない(3)両足が広がるなどの特徴があり、転倒しやすくなります。
─診断方法は。
まずはCTやMRIで、脳室の膨らみなどの有無を確認します。次にタップテストを行います。局所麻酔を行った上で腰の脊柱管に細い針を刺し、脳脊髄液を約30 mL採取します。腰の脊柱管は脳室とつながっているので、腰から採取できます。髄液を抜いた後、一時的に歩行状態の改善が認められると治療の適応になります。
─治療方法は。
脳室に滞った脳脊髄液を継続的に排出するチューブを皮下および体内に入れる髄液シャント術を行います。当院では、腰とおなかの皮膚を小切開する「腰椎ー腹腔シャント術」という開頭の必要がない術式を主に行っています。術後、歩行障害や尿失禁、認知症が改善され介助なしで生活を送れるようになった患者さんも多くいます。ただし、腰部脊柱管狭窄症の人は適用外となるので、相談の上、穿頭(頭に穴を開ける)にて「脳室ー腹腔シャント術」を行うかどうかを判断します。原因不明の歩行障害、尿失禁、認知症などがある場合は、脳神経外科の受診を検討してみましょう。
熊本脳神経外科病院
住所 | 熊本市中央区本荘6‐1‐21 |
TEL | 096-372-3918 |
営業時間 | (診)月〜土曜9時~12時(受付8時30分~11時30分)、 13時~17時30分(受付13時~17時) |
休業日 | 日曜、祝日(救急患者は24時間受け入れ) |
駐車場 | 30台 |
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