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「無痛分娩」の安全性について リスクを理解して検討を

慈恵病院 理事長・院長 蓮田 健氏 九州大学医学部卒業。九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
慈恵病院
理事長・院長 蓮田 健氏
九州大学医学部卒業。九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務

目次

[メディカル百科]産婦人科編

産婦さんにとって大きな助けとなる「無痛分娩」。しかし、リスクや、過去に起こった医療事故から、無痛分娩にすべきか迷う方も少なくないようです。専門医に詳しく聞きました。

─無痛分娩とは。

硬膜外麻酔という麻酔を用いてお産の痛みを和らげる分娩法です。硬膜外麻酔では、細いチューブを腰や背中に挿入し、そこから麻酔薬を注入します。麻酔薬が入ると10分ほどで下半身の感覚が鈍くなって、陣痛の痛みが和らぎます。上半身の感覚は普通で、眠ってしまう麻酔ではないため、意識ははっきりしています。

─無痛分娩で後遺症が残ることは。

無痛分娩も副作用がゼロではありません。後遺症の発生率の中で最も多いのが頭痛です。麻酔をして頭痛が発生する頻度は一般的に50~100人に1人といわれています。ただ、後遺症といっても、大半のケースでは1~2週間で自然に良くなります。また、麻酔チューブが入っている経路を通じて神経に菌が感染することがあるといわれていますが、発生率は6万~500万人に1人と非常に低いものです。麻酔チューブ関連のトラブルでは、血腫と呼ばれるものもあります。麻酔チューブの入っている場所付近で内出血を起こして、血液の塊が神経を圧迫するものです。その結果、神経のまひが起こります。しかし、これも極めてまれで、発生頻度は200万~500万人に1人といわれています。

─以前、無痛分娩の医療事故について報道されましたが。

5年ほど前に無痛分娩時の医療事故が報道されました。母体や赤ちゃんが亡くなったり、深刻な後遺症が残ったりする事故でした。これは麻酔のチューブが本来の場所ではなく、誤った場所に入ったことが原因です。一般的な麻酔管理を行っていれば深刻な事態を防げたはずですが、それができていなかったことから事故を招いてしまいました。日本では年間3万~5万人の無痛分娩が行われています。一方、麻酔による母体死亡は2年に1人あるかどうかの頻度ですから、極めてまれです。

─無痛分娩にすべきか迷っている場合には。

「お産が痛いのは当たり前」と考える人もいますが、分娩予定日が近づくにつれ陣痛に対する恐怖感が増し、気持ちが不安定になる女性がいらっしゃいます。また、陣痛のつらさがトラウマになって、次の妊娠をためらう方もいます。「自然分娩で大丈夫」とお考えの方には必要のない無痛分娩ですが、陣痛に対する不安が強い方には大きな助けとなる分娩方法です。担当医とよくご相談の上、検討されてはいかがでしょうか。

医療法人 聖粒会 慈恵病院

住所熊本市西区島崎6-1-27
TEL096-355-6131
診療科目・内科 ・内分泌内科 ・消化器内科 ・小児科 ・麻酔科 ・産婦人科(産科・婦人科)・内視鏡婦人科・糖尿病代謝内科・乳腺外科
診療時間/産婦人科月~金曜/9時~11時30分・13時30分~17時(木曜は午前中のみ)、 土曜/9時~11時30分・13時30分~17時 ※産婦人科の急患の方は、いつでもご来院ください。
診療時間/内科月~土曜/9時~12時・13時30分~17時(木・土曜は午前中のみ)
診療時間/小児科月~土曜/9時~12時・13時30分~17時(木曜は午前中のみ)
診療時間/麻酔科金曜/13時30分~17時
面会時間平日14時~20時、日曜・祝日10時~20時
備考※麻酔科および妊婦健診は予約制です  ※手術や分娩によっては診療時間が変更になる場合があります

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記事内の情報は掲載当時のものです。記事の公開後に予告なく変更されることがあります。

慈恵病院 理事長・院長 蓮田 健氏 九州大学医学部卒業。九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務

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