不妊や卵巣がん、脳梗塞などのリスクも 最近増加傾向にある「子宮内膜症」【メディカル百科】
美容外科編
月経痛や、月経時以外でも下腹痛などの症状が見られる「子宮内膜症」。最近、増加傾向にある女性の病気です。専門医に詳しく聞きました。
─子宮内膜症とは。
月経がある女性の約10%と多くの割合で発生し、子宮内膜に似た組織が卵巣や骨盤の壁(腹膜)など、子宮内膜以外の場所で発生する病気で、最近、増加傾向にあります。子宮と直腸の間のダグラス窩(か)と呼ばれる部位周辺に最も多く発生し、その他、腹膜、卵巣、仙骨子宮靭帯(じんたい)、子宮表面(漿膜・しょうまく)に発生します。まれに、膀胱、子宮膣部、尿路系、瘢痕(はんこん)部、腸、肺などにも見られます。
─どんな症状がありますか。
(1)月経痛(90%)
(2)月経時以外の下腹痛(69%)
(3)月経時以外の腰痛(64%)
(4)排便痛(62%)
(5)疲労感・消耗感(49%)
(6)性交痛(46%)
(7)過多月経
(8)不妊(38%)
の順となっています。
─何歳くらいに多いのですか。
月経が始まると次第に多くなり、ピークは40~44歳で、閉経後に減少します。
─原因は何ですか。
月経血の腹腔内への逆流説が有力ですが、詳細は不明です。女性ホルモン(卵胞ホルモン・黄体ホルモン)の影響で、月経周期に従って、子宮外に生じた病変が増殖と出血を繰り返すため症状が出現する慢性の全身性の病気です。
─診断は。
診断は難しいですが、通常は、自覚症状、内診、直腸診、超音波検査、MRI検査により行います。最終的には腹腔鏡検査や手術により摘出された組織で診断します。
─治療法は。
薬物療法は対症療法(個別の症状を抑える)や、内分泌療法(ピル・ジェノゲスト)、GnRHアゴニスト療法、ノボノルゲストレル放出子宮内システム(ミレーナ)があります。手術療法は、薬物療法でどうしても病状が改善しない場合に行われることがありますが、再発が多いため主治医とよく相談する必要があります。
─気を付けておくべきことは。
子宮内膜症は、「疼痛」と「不妊」の原因となるだけでなく、「卵巣がん」のリスクがあります。
─がんになることがあるのですか。
子宮内膜症が卵巣に発生した「卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)」の卵巣がん合併は0.7%で過度に心配すべきではありません。しかし、嚢胞径が10㎝以上となるほど、また、40代から次第に発生率が高くなります。他にも、子宮内膜症を経験した女性は将来、動脈硬化による脳梗塞、狭心症、心筋梗塞にも注意が必要です。症状に思い当たる方は専門医の受診をおすすめします。
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