10月は、乳がんの早期発見・早期治療の大切さを伝える“ピンクリボン月間”です。熊本でもさまざまな啓発イベントが開催されます。そこで今回は、知っておきたい「乳がんの基礎知識」についてご紹介します。

罹患(りかん)率は日本人女性の11人に1人

乳がんは、乳房の中に広がる乳腺にできる悪性腫瘍です。がん細胞は細胞分裂を繰り返して成長し、1個のがん細胞が1cmになるまで7~8年かかるといわれています。早期に当たる2cmになるまでには、さらに1年半~2年かかるため、国は2年に1回の検診を勧めています。放置すると、がん細胞が乳管の外に広がり、リンパ節転移や他臓器転移が起こる危険性が高くなります。

日本人女性の11人に1人が乳がんにかかるといわれています。その数は年々増えており、現在、女性がかかるがんのトップです。2013年の乳がん罹患率は7万6839人、2015年の乳がん死亡数は1万3584人です(※)。乳がんの発症は30歳代から少しずつ増え、40歳代後半から50歳代にピークを迎えます。つまり、家庭や社会で最も活躍する年代の女性に多いがんなのです。

女性は誰でもかかる可能性がある病気

大多数の乳がんで発生や進行に、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが大きく関わっていると考えられています。乳がんにかかるリスクを高める因子は、女性ホルモンに関係するものが多くみられます(表1参照)。ただし、これらの危険因子に該当しない人も、乳がんにかかることはあります。また、乳がんの増加の背景には、食生活の欧米化による肥満や、高齢出産、独身の増加もあるといわれています。乳がんは女性であれば誰でもかかる可能性があるがんなのです。

早期発見すれば治る確率が高い

乳がんは早期に発見して適切な治療を受ければ、90%以上は治ります。乳がんのほとんどはしこりを形成するため、「唯一、自分で見つけることができるがん」ともいわれています。進行すると、しこりや痛み、違和感、乳頭の分泌物、ただれなどの症状が現れます。異変を感じたら早めに乳腺外科などの専門医を受診しましょう。乳がんは初期症状がほとんどなく、しこりは1cmくらいから触れるようになります。検診を受けると早い段階で乳がんを見つけることが可能です。早期発見できれば、手術や治療内容が軽くなることも多く、それにより入院や治療期間も短くなり、経済的負担も軽く、社会復帰も早くなります。

自己触診と定期的な検診が大切

乳がんを早期発見するためには、20歳を過ぎたら月に1度の自己触診(セルフチェック)をしましょう。40歳代になったら、1~2年に1度の乳がん検診を受けることをお勧めします。自治体が行う対策型検診は、40歳以上が対象で、2年に1回マンモグラフィー(乳房X線検査)と視触診を行います。対策型検診の年齢に該当しない人、職場の健診や扶養者健診で乳がん検診を受ける機会がある人以外は、任意型検診として自費で受けることができるので、専門医にご相談ください。

マンモグラフィーは、石灰化などの病変を見つけるのに優れ、極めて早期の乳がんを発見することができます。しかし、乳腺の密度が高い「高濃度乳房」の人の場合は、マンモグラフィーだけでは乳がんを見つけにくい場合も多く、超音波検査を併用することでがんの見落としが少なくなります。また、40歳未満でも家族や既往歴、生活習慣などで、乳がんにかかる危険因子がある人は、検診を受けましょう。

※国立がん研究センター「がん情報サービス」最新がん統計(2017年9月20日更新)参照

乳がんにかかるリスクを高める因子(表1)

(1)家族(祖母、母、姉妹)が乳がんにかかったことがある
(2)本人が乳がんその他の乳腺疾患になったことがある
(3)高齢初産(30歳以上)か、出産歴がない
(4)初潮が早く(11歳以下)、閉経が遅い(55歳以上)
(5)閉経後の肥満
(6)長期間のホルモン補充療法を受けている(更年期障害の治療など)


自己触診(セルフチェック)の仕方

1.

せっけんやボディーソープを手に付けて、乳房の外側から内側に向かって、つかまず手のひらを滑らせるように触れ、乳房や脇の下にしこりや硬い部分がないかチェック。乳頭の下も忘れずに。

2.

乳房や乳首を絞って、分泌物がないかチェック。

3.

鏡の前に立って、左右の乳首の高さが同じか、大きさ・形に変化がないかチェック。さらに、両腕を高く上げて、乳房のひきつれやくぼみ、乳輪の変化、乳頭のへこみなどがないかチェック。

自己触診(セルフチェック)の仕方

ピンクリボン活動とは

1980年代にアメリカで1人の女性が乳がんで亡くなったのをきっかけに、市民活動として生まれたもの。90年代には、日本でも乳がんの早期発見の重要性を伝える啓発活動が始まりました。今では、熊本をはじめ全国でさまざまなピンクリボン運動が行われ、検診の重要性をアピールしています。


すぱいす ピンクリボンキャンペーン

10月7日(土)10時~15時
下通パルコ前

乳がんを取り巻く現状や、検診の流れを説明したパネルによる情報提供のほか、しこりに触れることができる乳房触診モデルなどを設置。乳がん検診に関するアンケートに答えてくれた方には、すぱいすノベルティーをプレゼント ! ぜひ、気軽にお立ち寄りください。

お問い合わせ

熊本日日新聞社業務推進局

TEL
096-361-3345

NPO ピンクリボンくまもとイベント

10月15日(日)10時~16時
くまもと県民交流館パレア

「リスクファクターから乳がんを考える」と題して、6つのテーマで15~20分のミニセミナーを開催します。3テーマ聴講した方には記念品をプレゼント。対策型検診の年齢に該当しない方を対象に「乳房エコー体験」も実施。詳しくはピンクリボンくまもとのホームページをご覧ください。http://www.pinkribbonkumamoto.com/


【監修】 秋月 美和医師(NPO法人ピンクリボンくまもと代表、乳腺専門外来 みわクリニック院長)