―歯の矯正には、どんな治療法がありますか。

上村　歯科医院によってさまざまですが、大きく分けると3つの治療法があります。①歯の表側から装置を着ける矯正②歯の裏側に装置を着ける矯正③自分で取り外しできるプレート式の矯正―です。3つの治療法の中では、成人の患者さんには、正面から見たときに治療していることが目立ちにくい②の方法がお勧めです。この治療法を「舌側矯正」といいます。

―「舌側矯正」について教えてください。

上村　この矯正法に関しては「痛みがある」「口内炎ができやすい」「虫歯になりやすい」など、間違ったイメージを持つ人も多いようです。しかし、装置の調整の仕方や装置の種類によって、痛みを少なくしたり、口内炎をできにくくしたりすることができます。虫歯の懸念については、装置が舌に当たることで唾液腺を刺激し、唾液が多く分泌されて歯に汚れが付きにくくなるため、むしろ虫歯になる可能性は低くなるといわれています。とはいえ、どんな矯正法でも歯磨きは徹底して習慣付けることが大切です。さらに、毎回の装置の調整時に自分では取り除けない汚れを歯科医院で丁寧に磨いてもらうことも重要です。装着後、しばらくは違和感があるかもしれませんが、徐々に慣れていきます。治療期間は他の矯正法とほとんど変わりませんが、一般的に費用は高くなります。ですが、「周りに気付かれずに矯正できる」というメリットを評価し、この治療法を選ぶ患者さんは年々増えています。費用が気になる人には、上部は歯の裏側に、下部は歯の表側に装置を着ける方法がお勧めです。