メディカルインタビュー 皮膚科編

私たちに身近な猫は、人間に感染する恐れのある病原菌を持っていることがあります。その中でも代表的な皮膚疾患について、症状や治療法などを専門医に聞きました。

どんな疾患がありますか。

丸尾 猫ひっかき病、パスツレラ症、皮膚糸状菌症が代表的です。これらの病原菌に感染しても健康な状態であれば症状は現れませんが、体の免疫力が低い子どもや高齢者、体調が悪い方は発症しやすくなります。

「猫ひっかき病」について教えてください。

丸尾 猫に引っかかれたり、かまれたりして、バルトネラ菌に感染して発症します。潜伏期間は数日から2週間。傷の部分に赤い発疹や小さな水疱(すいほう)ができ、さらに1~3週間でリンパ節が痛みを伴って腫れ上がります。手の傷なら脇の下、足の傷だと鼠径(そけい)部に現れます。時には膿(うみ)がたまり、発熱や頭痛を伴います。通常は数週間~数カ月で自然治癒しますが、長引くときは抗生物質を服用します。

まるお皮ふ科 院長 丸尾 圭志氏 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医

「パスツレラ症」と「皮膚糸状菌症」とは。

丸尾 パスツレラ症は、猫の口の中の常在菌・パスツレラ菌によるものです。野良猫、飼い猫に関係なく、ほぼ100%が保菌しています。猫にかまれると24時間以内に発赤や腫れ、うずきが生じ、蜂巣(ほうそう)炎を起こして膿が出ます。特に、高齢者や免疫抑制不全の病気を持つ人が感染しやすく、重症化しやすいといわれます。また、皮膚糸状菌症は猫カビとも呼ばれ、猫の皮膚や毛に寄生したカビ・皮膚糸状菌に感染して発症します。猫に過剰に接すると感染の可能性が高まります。子猫や野良猫は保菌率が高く、野良猫を飼い始めるときも注意が必要です。症状としては、かゆみを伴った円形の赤い皮疹が多数現れ、いわゆる白癬(はくせん)になります。毛髪に寄生すると、脱毛や頭皮が発赤して痛むほか、膿が出てリンパ節の腫れや発熱が起こるケルスス禿瘡(とくそう)になる場合もあります。

日頃の注意点はありますか。

丸尾 野良猫には触らない方が安全です。口の周りをなめられるなどして感染することもありますので、飼い猫であっても触ったり、かまれたりしたら、その部分をよく洗うように心掛けましょう。

パスツレラ症の例。手のひらに猫によるかみ傷と、引っかかれた痕が確認でき、全体に発赤と腫れも見られます

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