メディカルインタビュー 皮膚科編
乳幼児期の発症が多いとされるアトピー性皮膚炎。中には、成人になっても再発を繰り返し、悩まされる人も少なくないそうです。今年、登場した注目の新薬など、進化する治療法について聞きました。
アトピー性皮膚炎とは、どんな病気ですか。
野口 かゆみのある湿疹を主とする疾患で、悪化と軽快を繰り返します。病変は顔や首、手足の関節、体幹など体のさまざまな部分に現れ、年齢とともに好発部位が異なったりします。また、病変部分が左右対称に分布するという特徴があります。
原因は何でしょうか。
野口 アトピー性皮膚炎は多病因性の疾患で、原因の特定は難しいものです。ただ、本人や家族に気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎の病歴がある場合が多く、皮膚のバリア機能低下で外部からの刺激を受けやすかったり、刺激に過敏に反応する抗体が体内で作られやすかったりすることが分かっています。また、仕事や日常生活での不安、多忙、人間関係など、ストレスによって症状が悪化することもあります。
のぐち皮ふ科 院長 野口 博光氏 医学博士。防衛医科大学校卒、熊本大学大学院修了。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
治療について教えてください。
野口 アトピー性皮膚炎の治療には通常、皮膚の炎症を抑えるステロイド外用薬やタクロリムス軟こう、保湿ローションを組み合わせて使用します。従来は、炎症が悪化したときだけに行う治療が主でしたが、現在では、炎症が収まっても週に3回、2回、1回などと、少しずつ塗る回数を減らしていく方法が推奨されています。この治療法は、皮膚の炎症の再発を抑えることが可能だといわれています。
他にも最近、新たな治療法が注目されているそうですね。
野口 最近、デュピルマブという新薬が登場しました。ステロイドのように免疫全体を抑制するのではなく、過剰になっている免疫をピンポイントで抑えます。アトピー性皮膚炎の中等症から重症の患者さんのQOL(生活の質)の改善につながると期待されています。治療を受けられるのは15歳以上で、ステロイドや軟こうでの治療を6カ月行っても効果が不十分な場合に併用できるとされます。保険適用ですが治療費は高額で、治療が受けられる医療機関も限られるため、まずは皮膚科の専門医にご相談ください。
25歳男性の重症のアトピー性皮膚炎の症例。かゆみを伴う発疹が全身に左右対称に分布しています
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