メディカルインタビュー 産婦人科編
陣痛や出産時の痛みを和らげる「無痛分娩」。どのような分娩方法で、どのくらいの方が選択しているのか、今後の展望などについて詳しく話を聞きました。
─無痛分娩とは。
蓮田 硬膜外麻酔と呼ばれる麻酔を使って、陣痛の痛みを和らげる方法です。腰や背中に細いチューブを挿入し、そこから麻酔薬を注入します。注入後、10分ほどで陣痛の痛みが和らぎます。下半身の感覚が鈍くなりますが、上半身の感覚はそのままで、意識もはっきりとしています。
─選ぶ人が増えているそうですね。
蓮田 2007年に厚労省が実施した全国調査では、無痛分娩を受けた妊婦さんの割合は2.7%でした。その後、16年に日本産婦人科医会が行った調査では、6.1%に増加しています。つまり、年間4万人以上の妊婦さんが無痛分娩で出産していることになります。ただ、アメリカでは約60%、フランスでは約80%の妊婦さんが無痛分娩で出産しているため、日本における無痛分娩はまだ少数派だといえるでしょう。
─なぜ少ないのですか。
蓮田 日本の医療は欧米の影響を強く受けており、欧米で始まった新しい医療を導入するパターンがほとんどです。ところが、無痛分娩はそうではありません。これは、「おなかを痛めた子」という表現に象徴されるように、陣痛を乗り越えてこそ、産んだ子への愛情が強くなるという日本独自の風潮が影響しているようです。一方、産婦人科医療機関としても、無痛分娩の管理は負担が大きく、敬遠されがちです。
─どのような方に適していますか。
蓮田 経産婦さんによっては、陣痛のストレスがトラウマになることがあります。痛みに弱い方にとっても、無痛分娩は大きな助けになるといえます。ただ、一昨年の春から無痛分娩での医療事故の報道が続きました。中には母親が亡くなるケースまであったため、無痛分娩を担う医療関係者の間にも衝撃が走りました。もっとも、無痛分娩の麻酔が原因で亡くなることは全国で2~3年に1例と推測されるため、発生頻度からすれば8~10万人に1人です。しかし、分娩自体が、麻酔がなくてもできることだと思う方も多いため、しなくてもよい麻酔によって亡くなったと受け止められがちです。ここが、手術中の麻酔事故と異なる点です。
─今後、どうなるのでしょうか。
蓮田 近年の医療事故を受けて、学会をはじめとする無痛分娩関係機関は、安全対策を強化する取り組みを開始しました。今年の春には新たな動きがあるともいわれています。今後も、さまざまな試みがなされるでしょう。
慈恵病院 副院長 蓮田 健氏 九州大学医学部卒業。九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務
店舗情報
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- 熊本市西区島崎6-1-27
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- ・内科 ・内分泌内科 ・消火器内科 ・小児科 ・麻酔科 ・産婦人科(産科・婦人科)・内視鏡婦人科・糖尿病代謝内科・乳腺外科
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- 平日14時~20時、日曜・祝日10時~20時
- 備考
- ※麻酔科および妊婦検診は予約制です ※手術や分娩によっては診療時間が変更になる場合があります
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