メディカルインタビュー 予防矯正編
歯並びに悩む子どもが年々増えていることを受け、最近は予防的な治療に注目が集まっているそうです。そこで、歯並びが悪くなる原因や幼児期の歯の矯正、予防治療について話を聞きました。
─歯並びが悪くなる原因を教えてください。
成瀬 歯並びは、あごの大きさや形状と密接な関わりがあります。最近は食生活が変わり、昔に比べて硬いものを食べなくなりました。何度もかんだり、舌をあまり動かさないせいで現代人はあごが小さくなり、歯が並ぶスペースが減ってしまったのです。そのほか、呼吸や姿勢、嚥下(えんげ)、食べ方などの生活習慣、離乳の状態も、あごの成長に大きな影響を与えるといわれています。歯並びが悪くなる可能性がある子どもには、①口が開いていることが多い②姿勢が悪い③言いにくい言葉がある④硬いものが苦手⑤アレルギー体質⑥口臭があるといった傾向があります。2つ以上該当する場合は、歯並びをチェックしてみてください。歯並びが悪いと、見た目の問題だけでなく、虫歯や歯周病になりやすいので注意が必要です。
─幼児期からの予防的なケアが大切だそうですね。
成瀬 子どもの口腔ケアで気を付けることは、まず予防です。虫歯になったら早めに治療するのはもちろんですが、虫歯にならないよう毎日丁寧に歯を磨くことが大切です。歯並びについても、生活習慣や癖を見直すことで、歯並びがきれいになります。また、永久歯が生えそろった後のブラケットを使うような歯列矯正は負担も多く、時間もかかることから、歯並びが悪くならないよう幼児期から予防的な矯正を行うことも増えてきました。
─予防的な矯正の具体的な治療方法は。
成瀬 永久歯の歯列矯正とは異なり、歯がちゃんと並ぶためのスペースづくりを目指し、あごの骨格の成長を促します。あごの骨格矯正は、トレーニングとマウスピースを併用して行います。主にトレーニングが重要ですが、その効果を早めるために、マウスピースを使った矯正を併用することをお勧めします。トレーニングは舌や頬を動かす筋機能訓練で、家庭で簡単にできるものです。トレーニングに要する時間は、1日に3~5分ほど。子どもたちが飽きないよう、さまざまなメニューが考えられています。マウスピースを使用するのは、自宅に帰ってからの1時間と夜だけで、外出時や日中は使いません。きれいな歯並びは、正常なあごの成長が必須です。あごの骨は、頬の筋肉と舌の間に並ぶので、両方の筋肉バランスが良くなることで正常に発育します。子どもの歯並びに不安がある人は、専門医に早めにご相談ください。
さくらのもり歯科医院 院長 成瀬 公彦氏
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