メディカルインタビュー 神経内科編
眼科で診断を受けても異常がないのに、目の奥が痛むという人はいませんか。実は眼科領域の疾患ではなく、その奥の脳血管の異常から痛みを発症していることがあります。専門の医師に詳しく聞きました。
─目の奥が痛く、なかなか治らないという人がいるようですね。
園田 眼科で診察してもらうと何も異常がないけれど、どうしても目の奥の痛みが取れないと受診される方がいます。多くは、肩や首のこりからの痛みです。この場合、目の奥の痛みと併せて、まぶしくて目を開けられない、小さい文字が見づらいといった症状の他、頭痛やふらつき、胸の痛みを同時に訴えることがあります。肩こりが原因と思われる患者さんには、まずは正しい姿勢を保つことの大切さを説明します。次に血流を良くするために、肩こりを予防する体操などを指導します。この指導を元に自宅で体操を実践することで改善される人もいます。
─肩こりが原因ではなく、目の奥の痛みが続く場合、どのようなことが考えられますか。
園田 帯状疱疹(ほうしん)や副鼻腔炎などからも、目の奥に痛みを感じることがあります。この場合の痛みは、目の奥だけでなく、頭の痛みも訴えることが多いようです。また、脳血管の疾患としては、椎骨動脈解離なども考えられます。これは首の骨の中に脳に血液を送る椎骨動脈があり、この動脈が裂ける状態をいいます。血管が裂けることにより、頭痛とともに目の奥に強い痛みを感じることがあります。血管が裂け、裂け目に血栓ができて脳梗塞になったり、血管が破けてくも膜下出血になるなど、重篤な症状を引き起こしたりすることがあります。また下垂体出血が起こる下垂体卒中などでも、頭痛や目の奥の痛みを感じることがあります。いずれにせよ、MRI検査や造影、CT検査などを行い、早急な処置が必要です。
西村内科脳神経外科病院 医師 園田 隆次氏
─目の奥の痛みが徐々に増すような疾患もありますか。
園田 高齢者の中には、急激な運動など何もしていないのに徐々に痛みが増して、首が回らなくなり、同時に目の奥に痛みを感じるという人がいます。これは、頭の回転をつかさどる首の部分に石灰が沈着することで起こるもので、石灰が王冠のように沈着することから「クラウンドデンス症候群」といわれています。このように、「目の奥の痛み=眼科」の病気ばかりではありません。痛みを感じる原因は他にもいろいろ考えられますので、自己診断をしないことがとても大切です。長く目の奥の痛みが継続し眼科で検査をしても原因が分からない人や、目の奥の痛みに急激な頭痛を伴う場合は、早めに専門の医療機関で診断を受けることをお勧めします。
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