女性の健康や病気について考える「ピンクリボンプラス」。12年半続いたこのコーナーも今回で最終回。長年、取材協力および監修をしていただいた、NPO法人ピンクリボンくまもと代表で乳腺専門医の秋月美和先生に、乳がんの現状や検診の重要性などについて聞きました。

─乳がんの現状を教えてください

日本では女性がかかるがんで最も多いのが乳がんで、その数は年々増えています。2018年度の乳がん罹患(りかん)数は推定で8万6500人、非浸潤がんも含めると10万〜11万人に上ります。乳がんにかかる人は約20年前には40人に1人、約10年前には20人に1人だったのが、今や10〜11人に1人といわれるまでになりました。乳がんの発症は30歳代から少しずつ増え、以前は40歳代後半から50歳代がピークでしたが、最近では50歳前後と60歳代前半にピークを迎えるようになり、年齢が上がる傾向にあります。また、乳がん死亡率は女性のがんの第5位で、60歳代が一番高くなっています。

─早期発見するためにはどうすればいいですか?

40歳を過ぎたら少なくとも2年に1回は検診を受けることが大切です。自治体が行う対策型検診は、40歳以上の偶数年齢の女性が対象で、年齢に上限はありません。高齢でも乳がんになる可能性は変わらないので、検診を受けることをお勧めします(今年の4月から熊本市では70歳以上の方は市が実施するがん検診の自己負担が無料になります)。40歳未満に関しては罹患率は低いので、マンモグラフィーによる無用の被ばくや、超音波検査による費用対効果が低いといった問題があります。ただし、既往歴や家族歴、生活習慣などで乳がんになる危険因子がある人は検診を受けましょう。また、異常がないのに過度に心配して短期間に何度も検査を受けることも避けましょう。

熊本市の対策型検診ではマンモグラフィーと視触診を行います。乳腺の密度が高い「高濃度乳房」の人は、マンモグラフィーだけでは乳がんを見つけにくい場合が多く、超音波検査を併用することで見つかりやすくなります。超音波検査を希望する場合は、自費で任意型検診を受けることをお勧めします。自分に合った検診を定期的に受け続けることが大切です。

─読者へのメッセージをお願いします

何より大切なのは、自分の身は自分で守ること。乳がんは唯一、自分で発見できるがんと言っても過言ではありません。定期的に検診を受けるとともに、20歳を過ぎたら月に1度は自己触診をしましょう。入浴時にせっけんを付けて手洗いすることから始めてもOKです。しこりを見つけるというより、前月と比べて違いがないかを確かめます。乳房の皮膚の左右差やひきつれの有無、乳首をつまんだときに分泌物が出る、乳首にびらんができているなど、症状がある場合はもちろん、少しでも異常を感じた場合は、検診を待つのではなく直接、医療機関を受診しましょう。

現在、日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで死亡するといわれていますが、2018年の調べでは乳がんの5年生存率は93・5%、10年生存率は82・2%と、他のがんに比べると生存率がずばぬけて高いことが分かります。当然ながら、早期発見して早期治療すれば、それだけ生存率は高くなるのです。そのためにも、定期的な乳がん検診と自己触診の重要性を多くの人に知ってもらいたいですね。
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乳腺専門外来 みわクリニック 秋月美和 院長

乳腺専門外来 みわクリニック 秋月美和 院長