INTERVIEW タレント 矢方 美紀さん

アイドルグループSKE48の元メンバーで、名古屋を拠点にタレントとして活動している矢方美紀さん(26)。昨年4月に乳がんの手術を受け、現在も治療を続けながら仕事をしています。来熊した矢方さんに闘病や現在の心境などについてインタビューしました。
Profile

1992年生まれ。アイドルグループSKE48のメンバーとしてデビュー。2017年2月に卒業。その後、名古屋を中心にテレビやラジオ番組でレポーターやナレーターとして活躍するほか、自身の経験をもとに乳がんに関する講演や番組出演など、幅広く活動している。

矢方 美紀さん

矢方 美紀さん


つらいと感じること自体、生きている証拠

―乳がんに気づいたきっかけは何だったのですか?

以前は、大きな病気をすることもなく、健康診断もほとんど受けたことがありませんでした。でも一昨年、フリーアナウンサーの小林麻央さんが乳がんで亡くなられた報道をきっかけに、人はいつ何が起きるか分からないと思い、ネットで調べた方法でセルフチェックをしてみたんです。すると左胸に硬いしこりを見つけました。それでも他に自覚症状はなく、当時は「がん=痛みがあるもの」だと勘違いしていて、痛くなったら病院に行こうと思っていたところ、友人から「すぐに病院に行った方がいい」と言われて検査を受けました。もし、痛みが出てから病院に行っていたら、多分手遅れだったと思います。昨年1月、乳がんと診断された時は、20歳代ではかからない病気と思っていたので、「なんで私が!?」と驚きしかありませんでした。

―左乳房を全摘出し、リンパ節も切除されたそうですね。

乳房を温存する治療法もありましたが、全摘出より再発率が高くなるんです。最初は、手術は怖いし乳房がなくなるなんてイヤでした。でも、これからの人生を大切にしたいから、最善と思える方法を選びたかった。全摘出しても保険適用で再建手術ができることなど、いろんなことを考えた末、自分で全摘出を決めました。手術後、切除痕を見ても意外とショックはなく、この経験がいつか誰かのためになるかも、と前向きに捉えることができました。

―昨年4月の手術後、乳がんを公表されたのはどのような思いからですか?

最初は公表するつもりはなかったんです。でも、抗がん剤治療が始まったら外見が変わるかもしれないので、隠しておいたら誤解を招いてしまうと思いました。それなら自分の言葉で伝えるのが一番いいと判断し、公表しました。公表には不安もありましたが、実際は多くの人から励ましのコメントをいただいてうれしかったです。また、SNSを通じて乳がんを患った同世代の女性たちとつながることができました。同じ境遇にあるだけに、彼女たちとの交流が私の心の支えになっています。

―治療を続けながら仕事も頑張っておられますね。

病気が分かった時は、休業しないといけないのかな、と思いましたが、担当の先生から治療しながら仕事をしている人はたくさんいると聞き、仕事と治療を両立しながら頑張ろうと決めました。抗がん剤治療の副作用は想像以上につらくて「もうヤダ!」と思ったこともありましたが、手術も治療も自分で決めたことなんだから「甘ったれるな」と自分に言い聞かせました。それに、つらいと感じること自体、生きている証拠なんだから(笑)。だから、つらいことは深く考えず、好きなことに没頭して乗り越えることにしました。髪の毛が抜けたときはもちろん最初はショックでしたが、ウィッグを使ってショートやロングなど日替わりでいろんなヘアスタイルを楽しんだり、髪が少し伸びてきてベリーショートの今は、思い切ってハイトーンカラーに染めてみたり、「今しかできないこと」「ちょっといいこと」を見つけることで、がんと前向きに付き合っています。

―今後の活動について教えてください。

仕事では、子どもの頃からの夢である声優を目指して頑張っています。また、自分の経験を生かして乳がん検診やセルフチェックの大切さを伝える活動も積極的に行っていきます。乳がんは早期発見・早期治療すれば約90%の人が治るといわれている病気です。乳がんが見つかるのが怖くて検診を避ける方もいるようですが、私は見つからない方が怖いと思います。乳がんになっても私は私。これからも、一日一日を大切に自分らしく生きていきたいです。