メディカルインタビュー 産婦人科編

妊娠中、気を付けておくべき症状の中でも、特に緊急性の高い「常位胎盤早期剥離」について、専門医に詳しく聞きました。

─常位胎盤早期剥離とは。

蓮田 子宮の中は羊水で満たされていて空気がない状態です。そのため胎児は自ら酸素を取り入れて二酸化炭素を排出するという呼吸の活動ができません。しかし、胎児にとって酸素は必要ですので、へその緒を通じて胎盤から酸素を取り入れます。つまり、「胎盤→へその緒→胎児」の流れは胎児にとって命綱なのです。ですから胎盤は赤ちゃんが生まれて自分で呼吸を始めるまで機能を保ち続けなければいけません。ところが、その胎盤が早くに子宮の壁から剥がれてしまうことがあります。これを常位胎盤早期剥離と呼びます。

─胎児への影響は。

蓮田 胎盤が剥がれてしまえば、その部分を通じての酸素供給がストップします。剥がれた部分の面積に応じて酸素供給は減少するため、胎児は酸素不足に陥ります。酸素供給の減少の程度によって赤ちゃんへのダメージはさまざまですが、最悪の場合は子宮の中で亡くなります。命が助かったとしても脳にダメージを受け後遺症を残す赤ちゃんもいます。

─母体への影響は。

蓮田 母体も、大量の出血が発生すれば重症の貧血になってショック状態に陥ります。また、剥がれた胎盤から異常物質が発生し母体の血液中に入り込むことで血液異常を来すこともあり、重症化すれば母体の命に関わることもあります。このように、赤ちゃんや母体に深刻な影響を及ぼすことから、常位胎盤早期剥離は産婦人科医が最も警戒する病気といえます。妊婦さんの100~200人に1人の割合で発生するため決して少なくありません。血圧の高い妊婦さんに多く発生する傾向にありますが、交通事故などの腹部打撲でも発生し得ます。

─治療方法は。

蓮田 多くの場合、緊急帝王切開になります。胎盤から酸素をもらえなくなった胎児は自分の肺で酸素を取り入れなければなりません。そのためには一刻も早く、分単位での出産が必要で、産婦人科医も緊張します。生まれてきた赤ちゃんが「オギャー」と泣いてくれるとホッとします。「誰に起こるか予測が難しいが、いったん発生すると事態は深刻で大至急の対応が必要になる」「一定の割合で発生し得る病気」、このような難しい面を持つ病気です。

─対策はありますか。

蓮田 早く症状に気付き、病院に連絡することです。①おなかが張る、おなかが痛い②出血した③赤ちゃんの動きが少なくなってきた。このような症状が発生したら、早くかかりつけの産婦人科にご連絡ください。

慈恵病院 副院長 蓮田 健氏 九州大学医学部卒業。九州大学付属病院、国立病院九州医療センターなどで産婦人科勤務

店舗情報

医療法人 聖粒会 慈恵病院

住所
熊本市西区島崎6-1-27
TEL
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診療時間/内科・小児科(小児科は水曜日のみ予約制)
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