メディカルインタビュー 乳腺外科編

女性の11人に1人がかかるといわれている乳がん。遺伝によって発症するケースもあるそうです。遺伝性乳がんの検査方法などについて、詳しく話を聞きました。

─遺伝性の乳がんについて教えてください。

村上 家族に乳がん、卵巣がん、すい臓がん、前立腺がんにかかったことがある人が複数いる場合、乳がんになりやすい性質を持つ「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」の可能性があります。乳がん患者100人のうち5人~10人が、この性質が原因で発症したといわれています。通常の乳がんは40代~60代が最も発生率が高いため、40歳から乳がん検診を受けるよう勧められていますが、遺伝性乳がんの場合、40歳未満でも乳がんを発症する可能性があり、その確率も高いです。

─遺伝しているかもしれないと思った場合、どうすればよいですか。

村上 ネット上で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」の簡単なチェックリストが公開されているので、まずはそれで遺伝の可能性の有無を自分で確認してみましょう。若い世代の場合、マンモグラフィーよりも、MRI検査の方が初期段階の乳がんが見つかりやすいことが分かっているので、遺伝性乳がんの疑いがある場合は、家族歴などから推測されるリスクに応じて、MRI検診などを受けることをお勧めします。定期的に検診を受け、もし発症してしまってもいち早く治療を始められるようにしておくことが大切です。また、必要に応じて遺伝カウンセリングを受診し、遺伝検査で確認することも可能です。MRI検診や遺伝カウンセリングを実施している医療機関はまだまだ少ないので、事前に確認するようにしましょう。

熊本中央病院 乳腺・内分泌外科部長 村上 敬一氏