メディカルインタビュー 神経内科編
急に首の後ろや頭が痛み、なかなか治らないという経験がある人はいませんか。中には、寝違いと思っていたら、脳動脈が裂けていたということもあるそう。症状や治療法などを医師に聞きました。
─寝違えがなかなか改善しない場合があります。
白川 寝違えの多くは、首関節の軽い炎症で、1~2日で改善することが多いと思うのですが、特に首の後ろから頭にかけて痛みが強く、なかなか改善しない場合、脳動脈が裂け、解離しているかもしれません。脳動脈解離と聞いてもピンとこない人もいると思いますが、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長が、脳動脈解離によるくも膜下出血で亡くなられたことは記憶に新しいのではないでしょうか。
─脳動脈解離はどのようにして起こるのですか。
白川 心臓から脳に血液を送る血管が一部裂けてしまうことで起こります。首の後ろから後頭部に走っている椎骨動脈に起こることが多いようです。裂けた部分に血だまりができて血管を詰まらせると脳梗塞になり、これが破れてしまうとくも膜下出血になります。30代~70代と幅広い層で発症し、特に40代~60代の、今まで病気と無縁だった働き盛りの人にも多い疾患です。原因は、外傷の他、スポーツや運転時などに首を無理に動かして起こることもあります。はっきりとした原因が分からない人もいます。
─特徴的な症状はありますか。
白川 血管の裂けた部分に強い痛みが続き、目まいやしびれが起こることもあります。症状が軽い場合は2週間ほどで痛みがなくなるケースもあります。寝違えや、頭から首にかけてのひどい凝りと思い込んでいて、痛みが和らぐといつも通りスポーツをしたり、中には整体などで強くマッサージをしてもらうという人もいます。しかし脳動脈解離を発症している場合、激しいスポーツをしたり、首をねじったりすると、破れかけた血管の状態をさらに悪化させてしまうかもしれません。
─脳動脈解離が疑われる場合はどうすればよいですか。
白川 この疾患は早期発見、早期治療が大切です。頭部MRI検査で速やかに発見できます。MRIができないときは造影CTなどを行うこともあります。高血圧の人は発症リスクが高まるため、血圧を下げることが予防になります。また血管が少し裂けた状態であれば、安静にして血圧を下げることで大体は落ち着きます。ただ重症になり、脳梗塞やくも膜下出血を起こすと、後遺症でそれまでの生活ができなくなり、命に関わることもあります。強い痛みが続くような場合は、早めに受診されることをお勧めします。
西村内科脳神経外科病院 医師 白川 祐美氏
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