親を頼れない子ども・若者を支援する団体「NPO法人トナリビト」代表の山下祈恵さんが、子どもたちと過ごす日々の出来事をつづります。

新年あけましておめでとうございます! 皆様はどのような年末年始をお過ごしになりましたか? 実家に帰ったり、家族や子どもと年越しそばを食べたり、テレビを見てゴロゴロしたり…。

トナリビトが運営するシェアハウスIPPOも大みそかには管理人と入居者たちで年越しパーティーをします。

IPPOには親を頼れない15歳から23歳くらいまでの若者たちが6人暮らしていますが、その中で帰る実家がある子は例年1人か2人。それでも帰りたくない事情があったり、帰ってもトラブルになって早めに戻ってきたりすることも珍しくありません。

というのも、幼少期から親との関わりがなく、児童養護施設などで育った子にとっては施設が実家代わり。でも出身施設に帰っても、たいていの場合そこで年末年始を過ごすことはできません。

また実家があっても、嫌な思い出があったり、家族との関係がうまくいっていなかったりすると、「帰ってこいって言われるけど、ぶっちゃけ帰りたくない」という子もいます。

私たち支援者にとって一番つらいのは、「今年は家に帰るんだ!」と年末年始を楽しみにしていた若者が実際に家に帰ったときに、親に歓迎されなかったり、最悪の場合、暴言を吐かれたり、たたかれたりして、逃げるようにしてシェアハウスに戻ってくる時です。

普段どれだけ気丈に頑張っていても、安心して帰れる家がない、受け入れてくれる家族がいないつらさはどれほどのものでしょうか。

イラスト/さいき ゆみ

だからIPPOでは例年卒業生も誘って、シェアハウスに残っているみんなで一緒に年越しを過ごすことにしています。といってもシフトでお仕事が入っている子が多いので、テレビを見ながらご飯を食べて、ゲームして、罰ゲームで笑って…、深夜0時を回れば、翌日に備えて解散です。

ちなみに、私は昨年から入居者たちにお年玉を準備することにしました。するとみんなのリアクションのすごいこと!「まじですか!」「いいんですか!」と、満面の笑みでお年玉をもらいに来ます。

普段は仕事や勉強をして、自活を頑張っている彼らですが、そのときの顔は年相応の子どもに戻ります。そんな入居者たちの姿を見ながら、いつかは彼らが安心していられる「家」や「家族」ができますようにと、心から祈りました。


PROFILE
山下 祈恵

NPO法人トナリビト代表。親を頼れない子ども・若者や社会的養護出身者を対象に自立支援シェアハウスIPPOを運営する傍ら、相談窓口・居場所スペース、就労支援ネットワーク、学習支援、普及啓発活動等を通じて支援を行っている。公式サイトはhttps://www.tonaribito.net/