【483号】すぱいすフォーカス – 大人にも読んでほしい ゾッとする怖絵本

暑〜い夏に、ちょっぴり涼しくなってもらおうと、「怖い絵本」をご紹介します。本好きの本紙デザイナー・櫻が、大人にもおすすめの怖い絵本を独断でえ選り抜きました!

いろんな教訓を含むものから、本気で震え上がるものまで、今、静かなブームを呼んでいる「怖い絵本」。子ども向けのイメージが強い絵本ですが、最近は、むしろ大人の読者を意識したような怖い絵本も多く、シリーズでも出版されているほど。おなじみの昔話も、大人になって読み直すと、結構“怖い”お話ですよね。この夏、絵本の世界を存分に堪能してみては? やみつきになるかもしれませんよ! なお、今回、ご紹介する本の中には、すでに絶版になっている貴重なものもありますが、図書館で読むことができますので、ぜひ!(櫻)。


「しょきしょきしょきしょき。へんなおとがするな。」

妖怪えほん あずきとぎ

「ああ、それはあずきとぎだ。おばけだよ」。夏休み、祖父のいる田舎で暮らす少年。美しい大自然の風景と、緻密な構図による、何かに見られているような感覚…。姿はなく、「しょきしょきしょき」という音だけが響く夏の水辺の静寂にゾッとしてしまいます。ラストの「え!?」感は…。まさに、夏に読むべき一冊。京極夏彦の「妖怪えほん」シリーズの一巻。

岩崎書店 作・京極夏彦/絵・町田尚子/編・東 雅夫 定価 1500円+税

岩崎書店 作・京極夏彦/絵・町田尚子/編・東 雅夫 定価 1500円+税

「妖怪えほん」シリーズ:全5巻

「怪談えほん」シリーズ:第1期5巻、第2期4巻。第3期も出版!

大人が読んでもゾッとする怖い絵本として、ブームの火付け役となった「怪談えほん」シリーズと、「妖怪えほん」の各シリーズ。今夏、待望の新作も登場!


「鳥居をくぐるまでは、けっして声を出したり、走ったりせぬように」

夜の神社の森のなか ようかいろく(妖会録)

大天狗のうちわを拾い、あわよくば自分の物にしようとしていた少年が、妖怪たちのすむ森へ連れて行かれるお話。タイトルからの想像だけでもすでに怖いのですが、全ページほぼ黒一色で描かれた不気味で美しい闇の世界に、たくさんの妖怪たちが潜む恐怖感…。絵の説得力がすごく、後半のワンシーンはとても迫力があります。読後、何かがいるような気がして、部屋の隅の暗がりに目を向けられませんでした。

ロクリン社 作・大野隆介 定価1500円+税

ロクリン社 作・大野隆介 定価1500円+税


「夕暮れ揺れるヤナギの木 この橋いそいで渡らなきゃ」

こっそり どこかに

落とし物を捜しに、独り夕暮れの町へ飛び出した、黄色いレインコート姿のちょっと不思議な男の子。「早く見つけて帰らなきゃ!」。夕闇迫る町のあちこちに不気味なものが…。日常風景の中の違和感と色使いにゾワ〜ッとします。そんな闇に潜む恐怖を子ども目線で描いた絵本かと思いきや、彼が帰り着いた家は…。奇妙でモヤモヤとした結末に、怖いながらも何度も読み返したくなります。

長崎出版 さく・軽部武宏 定価 1500円+税


「子どもたちよ、いのちをそまつにするなよ!」

絵本 地獄

残酷描写が満載の、寺所蔵の昔の絵巻を使用した“トラウマ絵本”の代表格。1980年代の絵本ですが、新しささえ感じさせる躍動感のあるデザインと絵巻のコラボが、地獄の恐ろしさをより強く訴えてきます。 “命を大切に”という教本ですが、人が切り刻まれたり、釜ゆでにされたり、とにかく刺激が強いので、グロテスク系が苦手な人や、子どもに見せる場合は要注意! 強烈に印象に残り、夢にまで出てきそう…。

風濤社 監修・宮 次男/構成・白仁成昭、中村真男/装幀、レイアウト・貝原 浩 定価 1500円+税


「ばばじるくった。うまかった。ながしのしたのほねをみろ」

いまむかしえほん かちかち山

幼い頃は、悪いタヌキをただ懲らしめるお話と思っていましたが、改めて読んでみると、なかなか残忍な内容…。おばあさんを殺して、おじいさんに食べさせてしまうタヌキひどい…! タヌキを懲らしめるウサギの非情さもかなりのものです。

他にも、「したきりすずめ」や「さるかにかっせん」など、昔話にはよくよく考えると残酷で怖い話がたくさん。大人になると、登場人(?)物の行為の異常さが分かるのです。

岩崎書店 ぶん・広松由希子 え・あべ弘士 定価 1300円+税

岩崎書店 ぶん・広松由希子 え・あべ弘士 定価 1300円+税