【513号】広がる!中学卒業後の学びの”カタチ”

“多様性の時代”といわれる昨今。子育て世代も多いすぱいす読者にとっては、わが子の進路がとても気がかりですよね。最近では、中学校で不登校を経験したり、集団生活に不安があったりする子どもでも、将来の大学進学や社会参加を目指せるさまざまな選択肢があります。子どもが自分らしく学べる「場」を、一緒に見つけませんか。

十人十色の学び方

中学卒業後の進路が全日制高校以外にも広がっています。では、一体どんな「学びの場」があるのでしょう。通信制高校などの概要と、在校生・卒業生の経験談を紹介します。

自分に合ったペースで将来を考える

近年、通信制高校やサポート校といった「全日制高校以外」の選択肢が広がっていますが、一人一人の個性や多様性を尊重する時代にあっては当然の流れだと思います。これまで、不登校や学校生活になじめない子どもたちは、「高校に行くか、行かないか」という二者択一を迫られていました。しかし、校則や制服、登校日数が緩やかな学びの場があることで、落ち着いて自分のペースで将来に向かって歩みを進めることができます。

私のもとに相談に訪れる方の中にも、通信制高校やサポート校などを選択した子がいますが、保護者からは「笑顔が増えた」「登校するようになった」などの声が聞かれます。さらに、大学に進学し、社会に出て活躍している子も少なくありません。

全日制高校に行くにしろ、通信制高校やサポート校などで学ぶにしろ、大切なのは「社会に出て自他共に尊重して生きられる人」になること。そのためには、「自分は何のために学校に行くのか?」という目的をしっかり考え、それに合った進路を選べばいいと思います。

くまもと心理 カウンセリングセンター
岡崎 光洋さん

臨床心理士。スクールカウンセラー、テレビコメンテーター、講演などの活動も。著書も多数。


自分らしい選択肢を見つけよう!

通信制高校

時間や場所に縛られず勉強でき 全日制同様、3年で卒業も可能

通信制高校は、郵送やインターネットを活用した自学自習が中心で、多くは「単位制」です。そのため、学年の区別がなく留年を気にする必要もありません。必要な単位数に加え、月に1〜2回程度登校して先生に面接指導を受ける、テストや修学旅行、ホームルームなどに参加するなどの条件を満たせば、全日制高校と同じように3年で卒業できます。

一部の必修科目以外は自分で科目を選択でき、学習時間も自分で決められるので、アルバイトや趣味などに時間を割きたい人に向いています。

通信制高校を卒業するには
  • 通算3年以上の在籍期間
  • 修得単位が合計74単位以上(他の高校からの転校や中退後の入学の場合は、前に在籍した高校の単位を生かすことができます)
  • 特別活動に指定時間以上参加

サポート校・技能連携校

専門教科や独自講座が学べて 提携する通信制高校で高卒資格も

サポート校・技能連携校は、通信制高校と連携して、学校に通いながら高卒資格やさまざまな資格取得を目指す教育機関です。入学と同時に提携する通信制高校の生徒にもなり、高校卒業に必要な単位修得ができます。通学して学ぶので、学習指導や進路指導、生活面・メンタル面などのケアを専門のスタッフから受けられるのも特長。技能連携校の場合は、各校で指定されている簿記や情報処理などの専門教科の授業もあり、通信制高校の単位として認められます。

サポート校・技能連携校の主な特長
  • 年間を通してたくさんの学校行事やイベントがあり、学校生活の思い出や友人がつくれる
  • 大学進学を目指す人は受験指導が受けられるほか、指定校推薦なども
  • 社会に出て役立つ資格取得講座のほか、英会話、ヘアメークなどの独自講座も
  • 学費のうち、提携している通信制高校の授業料については、「高等学校就学支援金」が支給される

高卒認定試験(高認)

「高卒」でなくても大学受験が可能に 受験対策のための予備校も

「高卒認定試験」、通称「高認」は、高校を卒業していない人でも高卒と同等、もしくはそれ以上の学力があるかどうかを認定するために国が行っている試験です。年に2回行われ、満16歳以上であれば誰でも受験可能。独学でもいいですが、高認受験のための予備校などに通う方法もあります。合格すると大学や短大、専門学校の受験資格が得られるほか、就職や各種国家試験の際にも活用できます。ただし、学歴が「高卒」になるわけではありません。


生徒・保護者の生の声

通信制高校やサポート校などに通っている生徒や卒業生、その保護者に話を聞きました。全日制高校以外の選択肢を選んだ理由や選んでよかったことなど、体験者の「生の声」をお届けします。

ハードな授業が負担で中退決意 通信制で“高校生活”を満喫

中学卒業後に進学した高校が自分の希望した学科ではなかったため、徐々にハードな授業についていけなくなり、1年生の終わりに通信制高校に転入。週5日通うコースを選択し、卒業までほぼ皆勤賞でした。当初は通信制に移ることに反対だった両親も、「笑顔が戻ってよかった」と喜んでくれました。同系列の学校との合同運動会や新入生・卒業生の歓送迎バーベキューなど、高校生活のいい思い出もたくさんできました。今、進路や不登校などで悩んでいる人には、「高校で全てが決まるわけじゃない。自分の道は自分で切り開いて!」と伝えたいですね。

村田君の通信制高校時代の1日

7:30 起床
8:00 準備して自宅を出る
9:00 1限目スタート
16:00 授業終了 友人とカラオケに
20:00 帰宅、夕食
21:00 テスト勉強など
23:00 就寝

熊本学園大学社会福祉学科 村田 大河(たいが)さん


病気が原因で不登校を経験 転入後は張りのある生活で積極的に

全日制高校に進学したものの、1年生の時に発症した難病の影響で容姿が変化し、人目が気になって登校できなくなりました。その後、心も体もどん底の時期を過ごす中で通信制高校の存在を知り転入。通信制は自分で時間を管理できるので、レポートや試験勉強に集中する時期、趣味に没頭する時期など、メリハリをつけた生活を送れるのが私に合っていました。また、通信制高校に対するネガティブなイメージを払拭するために、県内の通信制高校合同の交流イベントを企画するなど、物事に積極的に取り組めるようになり、両親も喜んでくれています。

北野さんのある1日

9:00 起床、家事手伝い
10:00 その日、受ける授業の開始時刻に合わせて登校
15:00 授業終了後、学校に残り友人や先生とボードゲームで遊んだり、資格や検定の勉強をする
19:00 帰宅、夕食
21:00 家族と過ごす
22:30 自室で勉強したり、スマホを見たり
24:30 就寝

専門学校に進学予定 北野 凛さん


選択肢は一つじゃない! “回り道”をしたから分かることも

息子(写真右)は、高校1年の秋ごろから学校に行けなくなりました。当初は引きずってでも連れていくつもりでしたが、今となっては恥ずかしい限りです。1年ほど不登校を経験した後、3年次にサポート校に転入し無事卒業。それまではそんな選択肢があることも知りませんでしたが、進路は決して一つ(全日制高校)だけじゃないと分かって、親子とも気持ちが楽になりました。今は警察官・自衛官を目指して勉強を頑張っています!

荒木 直美さん


親や学校の期待が重荷に… サポート校で自信取り戻し大学進学も

娘が中学2年の時、学校や家庭でのプレッシャーなどで拒食症を患い、登校できなくなりました。以来、一般の高校進学は諦めていましたが、カウンセラーの紹介でサポ-ト校に入学。当初は娘も「ドロップアウトしてしまった」という気持ちがありましたが、少しずつ自分に自信を取り戻していく姿を見て、「(サポート校を)選んでよかった」と感謝しています。卒業後、県外の大学に進学し、今では就職して元気に過ごしています。

山口 洋恵さん


熊本の主な通信制高校、サポート校・技能連携校

通信制高校

ヒューマンキャンパス高等学校 熊本学習センター TEL:096-285-6868 https://www.hchs.ed.jp/
勇志国際高等学校 熊本学習センター TEL:096-277-5931 https://www.yushi-kokusai.jp/
未来高等学校 熊本学習センター TEL:096-285-7461 https://mirai-hs.com/
クラーク記念国際高等学校 熊本キャンパス TEL:096-327-8323 https://www.clark.ed.jp/
一ツ葉高等学校 熊本学習センター TEL:096-212-5250 https://www.hitotsuba.ed.jp/
くまもと清陵高等学校 TEL:096-213-7811 http://www.k-seiryo.jp/
第一学院高等学校 熊本キャンパス TEL:0120-761-080 https://www.daiichigakuin.ed.jp/
飛鳥未来きずな高等学校 熊本キャンパス TEL:096-276-6884 https://www.sanko.ac.jp/asuka-kizuna/
熊本県立湧心館高等学校 TEL:096-372-5372(通信制) https://sh.higo.ed.jp/yusinkan/

サポート校・技能連携校

志成館高等学院 TEL:0120-08-3730 https://www.siseikan.net/
KTCおおぞら高等学院 熊本キャンパス TEL:096-355-2139 https://www.ktc-school.com/
トライ式高等学院・熊本駅前キャンパス TEL:0120-919-439 https://www.try-gakuin.com/
水前寺高等学園 TEL:096-381-3121 http://www.suizenjikoto.sakura.ne.jp/