その1「正座」

伝い歩きをはじめ、テーブルの上のモノを
一つずつ下へ落とすという作業に没頭するムスコ。

バランスをくずして倒れ、数回打っていた頭も、
だんだんお尻で着地できるようになった。

しかし、ハイハイはあいかわらずヘタ。
勢いがあるときとないときの差がはげしい。

でも、最近ハイハイからそのまま正座をすることを覚えた。
ふと見ると、部屋の真ん中でちょこんと正座しておもちゃで遊んでいる。
あまりのかわいさにカメラをかまえ、ビデオを回す私達。
そんなむちむちの足を折り曲げて正座するなんて、
痛くないのかなとおもうけど、本人はけっこうお気に入りらしい。

お正月に向けて、何か芸を仕込もうと思っていたので、
新春初笑い小話なんぞさせてみようかとたくらむ。

扇子買って来なきゃ。


その2「バキューム!」

肌寒く感じる季節になった頃。
ゴロゴロ、ずびずびという音とともに、セキこむ息子。
例のごとく、「早く病院へ!」とおばあちゃん。

孫のうちの一人が気管支炎で入院したとの電話を
受けたばかりなので仕方ないけど、
子供はハナたらしてこそ一人前じゃないかなあと思いつつ、診察を受ける。

「肺は大丈夫のようなので、痰を切れやすくするお薬を出しておきます」
とのことだった。
そうね、痰が出れば、ゴロゴロもなくなるでしょう。

しかし。わずか8ヶ月の息子に切れた痰を出す、
かーっ、ぺ!
などという技ができるはずがない。

ゴボドロッゴボドロッといかにも
そこに痰がたまっているかのような咳をしているのに、
出すことができない息子。
夜中に、余りにも可哀想なので強行手段に出ることにした。

いやがる息子を押さえ付け、
マウス・トゥ・マウスでバキューム!
むぐむぐちょっとがまんしなさーい!

…おかげでゴロゴロは減りました。


その3「息子のヤローめ…」

私達がいつも居るリビングに、おばあちゃん達の家とつながるドアがある。

息子と絵本を読んだり、お歌を歌ったりして遊んでいると、
上手になったハイハイで突然おばあちゃん達のドアに突進。
バンバンたたいてアーアーとおばあちゃんを呼ぶ。

キィとドアが開き、「あら、来たの?」。
ひょいと抱き上げ、バタンと無情に閉まるドア。

い、今まで私と遊んでいたのに、息子のヤローめ…。
やっぱり、おばあちゃんがいいのかなあ。
なんてったっておばあちゃんは4人の子供を育てたうえに、
親戚の子も2人預かったりしたほどの子育て上手。

やっと笑い出した頃の息子を一番笑わせていたのも
おばあちゃんだったっけ。

ほんとに上手に子供と遊ぶんだ。
ふんだ。いいなあ、息子は、おばあちゃんに甘えられて…。

息子を取られたことに腹をたてるよりも、

おばあちゃんがいる息子が
うらやましくてしょうがなかった。


その4「美味しいもの」

美味しいもの食べに行きたいねえ。
焼肉とかさあ、あそこの骨付きカルビが最高…
そうか。息子に油が飛んじゃうね。
目にでも入ったらおおごとになるしね。

鍋、いいね。ほら、鍋の美味しいとこあったじゃない。
あそこのスッポン鍋食べようって言いながら、
結局行ってないし。

…うん。火使うしね。コンロが目の前だから、危ないよね。
万が一ひっくり返したら大変。

じゃあ、よくランチ食べに行ってたあの仏料理のお店。
今、魚介類フェアやってるらしいよ。
一度出たアワビの前菜がたまらなく美味しかったしさあ。

…テーブルクロス掴んで振り回すよね。

ナイフとフォークじゃ両手ふさがっちゃうしね。
抱けないし、イスだと泣くし。
お店のイメージこわしちゃうし。

うううねえ、私達いつうどん以外の
美味しい物食べにいけるの?
え?息子を預ければいつでも行ける?

…なによ。そんな目で見ないでよ。

いいわよ、そうまでして行きたいなんて
おもってませんよーだ。 

ふん。