「おうまさん その2」

新学期前に乗馬に来た貴家。
おばあちゃんとヤギの会話を聞きながら
進んでいくと、めーめーと鳴く声の中に
ひときわ甲高く『ぴめええええ』とか細い声。
思わずバッ、と娘と目を見合わせる。

「いる」
「いるね」
「あれは」
「仔ヤギの」

小走りで先へ急ぐと、いたーーーーー!!
ユキちゃんいたーーーーーーー!!
のたのたと、他のヤギたちに遅れながら
歩いて近づいてくる!!
ち、小さい!! かわいい!!
『ぴめええええ』
ああう、よーしよしよし…
そしてその奥には、娘念願の馬小屋が。

「馬…仔ヤギ…おばあちゃん…ここは天国…?」
と昇天しそうな勢いで興奮する娘。
ほんの数時間前まで死人の様だったのに、
今は別の意味で天にも昇る勢いだ。

さらに進むと、何人かすでに乗馬している。
わー、かっこいいねえ!
かっこ…あれ…? 乗ってる人、小さすぎない?
「あの子は小学3年生ですよ」
ええええ!?
「4歳から乗ってます」
ええええええええ!!

そうか。そういう世界もあったのか。
馬に乗るなんて貴族のたしなみか
牛追いカウボーイだと思ってたけど、
こんなに身近で乗馬を楽しむ文化があったなんて。

「では、こちらがコースごとの料金になります」
¥¥¥¥¥¥!!!

や、やっぱりお貴族様か何かですか…
うちみたいな庶民がそんな…
ごめんなさい…。
と、とりあえず体験…だけ…。
(つづく)