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2話 「たたきなさい」

たかぞうが突き飛ばして転ばせたのは、
クラスでもとてもかわいくて優しい女の子。
謝罪に行った際、先方のご両親が怒りを懸命に抑えているのがわかった。
「もし、場所が階段だったら死んでますよ」
その言葉が胸をえぐり、涙が止まらない。
もし逆の立場だったら、同じように思っただろう。
ましてや小さなかわいい女の子。
生まれたばかりの娘がいる私たちにとってわが身のことのように感じられ、
ひたすら謝ることしかできなかった。

※イメージ

家に帰り、たかぞうを問いただす。何のこと? とでも言うように
きょとんとした顔でさっぱり覚えてない様子。
「何度言ったらわかるの!? お友達をたたいたり、
押したりしたら駄目だって言ったでしょう!?」
それまで楽しくテレビを見ていたのに、
帰ってくるなり怒鳴られてパニックになる息子。
感情が高ぶったままの私は、
「たたかれないとわからないの!?」と言い放ってハッとなった。

今までどんなに言うことを聞かなくても、体罰だけは避けてきた。
私がそうされて育ったから、それだけは絶対にしないと誓っていた。

「たたかんとわからんよ!」と実母が言う。
たたくのが駄目ってことを、たたいて教えることの矛盾。
でも、結果、言うことをきかない息子。

どうすればいいのか悩み、落ち込む日々が続いた。
(つづく)