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6話 「星の王子さま」

「たかぞうくん(仮名)には、何か得意なことがありますか?」
「1歳半で、アルファベットを大文字も小文字も覚えました。
あと、簡単な英語の絵本なら読めます。ドレミを言い当てられます」
何とか息子の良いところを認めてもらおうと、懸命にアピール。
すると、先生が机の上の白い紙にすうっとペンで、円を描いた。

「これが、普通の人だと仮定しましょう。円の外側ができること、
内側ができないこと。普通の人は、できることとできないことに
そんなに差はありません。ほぼ正円の状態です。」

「しかし、たかぞうくんのような子はできることは飛びぬけてできて」
そう言って円の外側へ線を引っ張り、次にギュッと内側に線を入れ込んだ。
「できないことは極端にできないんです」

「そうして、できることとできないことが極端にある、この子たちのことを」
そう言いながらペンを走らせる先生の手元には、いびつでギザギザの星の形がひとつ。

「僕たちは『星の王子さま』と呼んでいます」

「彼の星では、彼のように振る舞うのが当たり前で何も問題ないんです。
でも、今彼が住んでるのが地球なもんだから、彼はとっても大変なんですよ。
僕たちが彼らの星に行ったら、僕たちの方が変な奴だ、と言われる。そういうことです」

先生が話してくださるそのエピソードのひとつひとつが温かくて、
ずっと私は泣き通しだった。
そうか、たかぞうは星の王子さまだったんだ。
慣れない地球に来て、大変な思いをしていたんだ。

そして、先生が最後に諭すようにこう言った。

「発達障害は、一生治ることはありません」

(つづく)