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~第2章~ 回顧

2004年 たかぞう(仮名)5歳の時のこと

9話 「Aさんのこと その1」

診断が下りてからというもの、当時はまだ少なかった情報を
インターネットで検索する日々が続いた。

書籍と言えば医学書並みの専門書しかなく、あとは半年に一度の通院時に医師に質問して
知識を増やすしかなかった。脳のことはまだわかっていることが少ないらしく
いまだに勉強の日々が続いている。

そんな中、息子が「ごっこ遊び」をしないことに気づく。男の子にありがちな戦隊ものや
ライダーものになりきって遊んだことがない。
これは、自分と他人を同じ立場に置き換えることができない脳の特性で、つまり
他人がどう思っているかを感じ取ることが難しいため、他人になりきることができないらしい。

それを知った時、ある人が頭に浮かんだ。
Aさん。
同じ職場で働くその人が、私はどうしても好きになれなかった。
あからさまな男尊女卑、常に上から目線でいつも鼻で笑ったようなものの言い方をする
その人との会話では、どうしても突っかかったような言い方になってしまう私。
周囲の女性陣もみんな苦手で、なるべく避けて通りたがるほど嫌われていた。

他人の気持ちを理解することができるかどうかが、性格や生い立ちとは関係なく
脳の機能の問題なのだとしたら。
そもそも、私にも小さい頃から苦手なことがあって
それはどんなに矯正しようとしても、大人になっても無理で
何くわぬ顔でできる他の人たちが心底うらやましかった。

Aさんが、わざと嫌われようとしてあんな態度をとっているはずがない。
「こんなことを言えば、相手が嫌がるのでは」という、自分以外の人の考えることが
分からないために、もしかしたらああいう態度しかとれなかったのかもしれない。

私の勝手な思い込みだったけど、そう思うようになってから
Aさんを見る私の心が徐々に変化していった。

(つづく)