初めて読まれる方はコチラ

14話 「優しいお父さん」

母親の私はもちろん、子ども好きの旦那はもう息子にデレデレ。
目に入れても鼻に突っ込んでも痛くないほどのかわいがりよう。
ずるいことに旦那は一見「優しくていい人」そうに見える。
そんな見た目の旦那が小さな息子を猫かわいがりして散歩したり買い物したりするもんだから、
さらに「子煩悩」という印象の拍車がかかり、
それが進むとやってくる「甘やかし」の烙印(らくいん)。

※イメージ

その優しそうな見た目は羊の皮よ。ちゃんと中身は真っ黒なのよ。
怒った時はそりゃもう怖いんだから。ちゃんと悪いことした時はすごく叱ってますよ。
どんなに訴えても信じてもらえず、「優しいお父さん」に
「息子をかわいがって甘やかす」の枕詞が付くように。
息子がまだ幼い時はほほ笑ましく見ていた周囲が牙をむくのは、息子が保育園に行き始めた頃。
自分の思い通りにしないと気が済まない息子に手を焼いていた先生方が、
声をそろえて言う。「お父さんがかわいがるから」 「かわいいのは今だけですよ~。」

「あんたたちが甘やかすけんたい」「かわいいのは分かるけど、もーちょっと考えなさい」「将来たかぞうが苦労するよ!」
子育ての先輩たる実姉や実母は、歯に衣着せぬ物言いで
子育て初心者の私にアドバイスをくださる。
分かってますってば。私自身も母に厳しく育てられた。姉に口答えなど許されない環境だった。
私も厳しくするべきところは厳しくしているつもり。
言うことを聞かなくて一番困ってるのは私なんだもの。
私だってどうにかしたいよ。
怒っても、怒鳴っても、言うこと聞いてくれたことないけど。
それでも怒り続けなきゃいけない。だって、私達夫婦の周囲のみんなが言う。
「もっとしっかり怒ってしつけなきゃ駄目よ!」と。

「俺が家にいない方がいいのかな。俺が甘やかすせいでたかぞうがわがままに育ってるのなら、俺のせいだ」
息子至上主義の旦那が迷走を始める。
いや、あんたこの前お茶こぼした時すげえ怒ってましたがな。
でも、それも甘いのかな。逆さづりにしてパンパンたたくのが正しい怒り方? 
分からなくなってきた。

だって、私知らなかった。
怒られても怒られても、たかぞうの耳には騒音が響いているだけで
理解なんか一つもしていなかったなんて。

(つづく)