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17話 「嫌がる女の子」

何度も何度も何度も何度も言うのに、食べこぼす。
何度も何度も何度も何度も入れるのに、ズボンから下着がダラリ。

低学年の時はそこまで目立たなかった息子の、
特に清潔感のなさすぎる行動に
4年生頃から女の子たちがどうも眉をひそめるようになってきた。

※イメージ

そらそうだ、私が同じくらいの頃もこんな男子がいて、
裏で変なあだ名をつけてヒソヒソ悪口を言っていたもの。

授業参観のたびに同じ班の女の子たちにごめんなさいごめんなさいと
心の中で謝り、
授業中に目に入るズボンとスクールセーターの間からはみ出たヨレヨレの下着を
ズボンの中に突っ込みたい衝動にかられ
何度も手を伸ばしてはひっこめる、を繰り返していた。
ああ、周りのお母さんたちはあの子はどんな生活をしてきたのかしら、
誰のお子さんかしらと思っているだろう。
きちんとしつけられてないかわいそうな子ね、と思っているだろう。

私が悪口を言っていた、あの男の子のお母さんもこんな気持ちだったのだろうか。

当時、そんなだらしない男の子にダメ出しをして否定することが
カッコいいと思っていた頃の自分が恥ずかしい。
その頃は自分が正義だと信じていた。

知らない、無知だから仕方ないではなく
無知ゆえに誤解や過ちを犯すことがある。
自分と違う存在を理解しようとしなかった、幼い頃の自分。

私は、息子のおかげでやっと
その愚かさに気づくことができた。

(つづく)