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20話 「試練ふたたび」

中学校は、小学校よりも近い場所にあり
さらにわが家はまたも中学校へ向かう通学路の延長線上だったので
小学校と変わらぬ友達が迎えに来てくれる
本当にありがたい環境だった。

※イメージ

しかし、感覚過敏のある息子にとって
詰襟の学生服に慣れるのが大変で
いつ「こんなの着られない」と言いだすかヒヤヒヤ。
引き続き忘れ物大王は大事なプリントを忘れ、
学校へ置いておいてもいい教科書は持って帰り、
名札を忘れて走って届ける、
体育服を忘れて走って届ける、
給食エプロンを(私が)忘れて走って届ける、
(忘れ物を仲介してくれる)事務室におわびにお茶菓子を届ける、
そんな中学生活のスタートだった。
それでもなんとか周囲の友達のおかげで
毎日学校へ通っているのを見ると、
成長を感じずにはいられない。

家庭訪問に来た、若々しい新任の先生が
「ついこの前まで大学生でした」と笑う。
怖いおじさん先生でもなく、イライラヒステリーなおばさん先生でもない
お兄さんのような彼なら、きっと息子をフォローしてくれるだろう。
「たかぞうくん、…どこに障害があるかわからないです。
とても真面目で頑張ってくれてますよ」
はい。
知ってます。
でもそれは、本当に頑張って頑張ってやっとの状態で
他の子が1の力でできることを10の力を出さないとできないんです。
それだけ実際は無理してるんですよ。
「?」
先生は黙って笑っていた。
発達障害の生徒はおろか、通常発達の子どもたちと過ごすのも初めての
教師としてのスタートを切ったばかりの彼に
あまり多くは求められないな、とその時思った。
そしてその日は1学期がまもなく終わる頃、突然やってきた。

「学校、行きたくない」

(つづく)