初めて読まれる方はコチラ

23話 「学校へのお願い」

息子と一緒に体育係をしているB君。
きっと、頼んだ仕事が何度も何度もできない息子に
「なんでこいつ言われた通りにしないんだよ?」
と、イライラしていたのだろう。
そのうっぷんが段々態度に出始めたのだと思うと、
息子に対する厳しい態度に憤りを感じるのと同時に、
申し訳ない思いと仕方ないとの諦めもあり
ただ落ち込むことしか出来なかった。

※イメージ

本人でさえも知らない障害。
理解してもらえるはずもない。

手を出されたと話した日、
確かに息子の襟章が無くなっていた。
何をされたのだろう。
悔しかったし、痛かっただろう。
そして怖かっただろう。

たかぞうは、体育のある日は学校へ行かなくなっていった。

「たたかない」と決めた自分の教育のせいで
打たれ弱くなってしまったのか。
私のせいで、また息子につらい思いをさせてしまったのか。
いろいろな考えが頭の中を巡りながら、必死に自分を保つ。
とにかく、学校に全く行かなくなるのだけは避けたい。
ゆっくりと、一言ずつしか話さない息子と
根気強く対話する。
私なら30秒で話し終わる内容も
たっぷり1時間かけてやっとの思いで聞き出す。

その中で、具体的な問題がやっと見えてきた。
「探す」「持ってくる」「伝える」など、苦手な仕事に対する恐怖が
行動を委縮させているようだ。

今こそ、あらゆる書籍や病院で勉強したことが役に立つに違いない。
何か工夫をすることで、息子の手助けになるはず。
それを、学校にお願いしてみよう。
とにかく、今できることからやるしかない。

たかぞうが、もう一度笑って学校へ行けるようになるために。

(つづく)