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27話 「B君との和解」

方程式の問題をクリアした頃、もう一つの
「体育のある日は学校を休む」問題は
夏休みを挟んでもなお続いていた。
しかしある日、泣きながら帰ってきたたかぞう。

もう一刻の猶予もないと思い、すぐに先生へ電話して
学校へ殴り込…今から行きます、と伝えると
「しばらくお待ちください」との返事。

燃え盛る炎を背中に背負ったまま待つと、
程なく「手を出した子と、担任が今からそちらに参ります」と連絡があった。

※イメージ

しばらく待って玄関に現れたのは、
目を真っ赤に泣き腫らした、思ったよりずっと小柄の少年と隣のクラスの担任。 

「私、知らなくて、本当に申し訳ありませんでした!」
と謝ってくださる先生の横で、
B君はずっと泣いていた。
「たかぞうくんが苦手なことを、助けてもやれないなんて。
私はこの子にはちゃんとその力があると思ってました。
それなのに、情けない!」
そうか。この子は怒られて泣いてるんじゃない。

「たかぞうが言ってたよ。最初は優しかったって。
でもごめんね、あなたが求める仕事を、努力をしてもできない子もいるの」

この前まで小学生だった、まだ幼い少年をこれ以上責められなかった。
まだ始まったばかりの中学生活に、深い傷をつけたくなかった。

遅れて駆け付けた主人も同じように考えてくれたらしく、
最愛の息子に手を出した彼を殴る代わりに、肩をぐっとつかんで
「これから、君がたかぞうの手助けをしてくれたら、
僕たちはとてもありがたいんだけど。
頼めるかい?」と聞いた。
B君はずっと泣きっぱなしだったけど、深くうなずいてくれた。
「たかぞう、どうする? 明日から、またB君と一緒に体育係やれる?」
たかぞうも深くうなずいた。

そして次の日。帰ってきたたかぞうが
「お母さん泣くかもよ」と前置きして話してくれた。

「B君がね、俺のそばに来て、耳元で
『体育係がんばろうな』って言ってくれたんだ。
学校だったのに、うれしくて俺ちょっと泣いちゃった」

かもじゃねえよ。

泣くわ。

(つづく)