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36話 「ここでも試練が」

「軍隊に入ったのかと思った」というたかぞう(仮名)は、
入学初日、いきなり腕立て伏せをさせられて
目標回数の途中で誰かがへばったら、また最初からやり直し、
という状態を続けさせられたらしい。

それに伴い大声で何度も怒鳴られ、
理不尽な罰を受けている感覚がどうしてもぬぐえなかった様だ。

※イメージ

ただでさえ筋力が無く、普通の男子より体力も無いたかぞうは
きっと公開処刑のような状態だったのだろう。
先生方が良かれと思ってしていることだと思いたいが、
昨日初めて会ったばかりのクラスメートと
まだ信頼関係もへったくれもできていない状態で
「連帯責任」と言われて何度も腕立て。

それはつらかったね。大変だったね。
一生懸命褒めて慰めたものの、
おかしい、変だと首をひねって眉をひそめ続けるたかぞう。
「弁当が大きすぎる」という」言葉の意味も、あとでわかったけど
初日からの拒絶反応の凄さに驚く私たち。

そして、経験上知っている。

たかぞうが、一度「こうだ」と思ったらそれをぬぐい去ることは
容易ではないこと。

とりあえずその日は、お風呂に入ってもう寝たら?と促すと
「宿題が出たんだ」
「これとこれとこれ、そして一日にやったページ数をこれに書いて、
これはこうしてこれはこんな書き方で毎日提出」
「そして、数学がなぜかいきなり17ページから始まった」

「俺、無理かも」

(つづく)