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38話 「普通の子」

高校生活3日目の朝、沈んだ顔で登校する息子を庭から見送る。

今日は、昨日とは違うかもしれない。
誰かが気にしてくれるかもしれない。
話しかけてくれるかもしれない。

祈る思いだった。

※イメージ

もっとも、自己肯定感が低いのに
プライドがエベレスト級という矛盾した思考を持つ息子の態度は
小さいころから一緒の幼馴染ならともかく、
初めて出会った人たちにはただの「うざい奴」としか思えないだろう。
発達障害の子の精神年齢は、通常発達の子達よりかなり低い。
高校生の中に、小学生が一人混じっている様な感覚の中
懸命に背伸びしようとして下手なマウンティングをしてしまい
さらに墓穴を掘ってしまうこともあるはず。

それがわかっていながらも、高校に変な期待と安心感を持ってしまっていた。
それは、中学3年時の担任がとても気を配って下さる先生で、
「たかぞうくんは普通の子と変わりませんよ。大丈夫です」と言ってくれたことに
舞い上がってしまったアホな私の責任だった。

そんなはずはないのに。

私は当然、中学から息子の発達障害について高校へ
内申書的なもので通達が行き、連携が取れていると思っていた。

たかぞうは3日目さらに暗い顔で帰ってきて、
「もう高校行きたくない」と言った。
「せめて1学期は行こうよ」   「無理」
「いや、1か月行ったら変わるよ」   「無理」
「でもとりあえず、明日は行きなさい」
「…行ってもいいいけど、何があっても知らないよ」

ぞっとした。

そして翌日、帰ってきたたかぞうは
「もう行かないからね」ときっぱり言い切った。
あわててもう別の中学へ赴任していた中学の担任に連絡すると
「私、発達障害の事、高校へは言ってないんですよ」

もう、パニックの極みだった。