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39話 「さよなら高校」

翌日、高校の担任へ連絡して私だけ学校へ行く。

スクールカウンセラーを紹介され、
何度か相談へ行き、
嫌がるたかぞうを連れて旦那と三人で学校へも行った。

その場でも、たかぞうは下を向いたまま
ぼそり、ぼそりとしか話さない。

※イメージ

担任の先生は、何とか説得しようとしているが
お決まりのような言葉は、空回りするばかりで
心に響いてこない。
その中で、あの中学入学の時の事を思い出した。

「悪いことが起きた時、本人に告知するのだけは避けたい」

伝えたい。
息子が、自分に自信を無くしてしまっている今、
「あなたのせいじゃ無いんだよ」と教えてあげたい。
でも、それはまた親のエゴなんじゃないだろうか。
他の同級生たちと同じように出来ないことに
自信を無くして落ち込んでいる状態で、
一生涯治らない障害を告知することが
本当に正しいことなのか。
そして、それを告知すれば
なあんだ、そうだったのか。じゃあやっぱり高校行くよ、となるだろうか。

なるはずがない。
私達に出来ることは、その時も
「責めないこと」「励ますこと」「怒鳴らないこと」

それだけで精いっぱいだった。

そして、たかぞうはもう二度と制服に腕を通すことは無かった。

(つづく)