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40話 「こんにちは通信制」

高校へ通ったのは入学式を含めるとわずか4日間。
当時連載していた育児日記でその事を書くわけにもいかず
その頃をどうやって過ごしていたか記憶がない。

ただ、私と同じようにこれから先の事を憂いていたはずのたかぞうが、
ある日今までにない明るい顔で
「お母さん、どうにかなりそうだよ」と言ってきた。

※イメージ

アホな私は、えっ、やっぱり高校行く気になってくれたの!?
とテンションがぎゅんぎゅん上がったと思ったら
「通信制の高校があるんだって。家で勉強できるんだよ。」
と聞いてまたズドンと落ち込んだ。

え、通信制?
そんな聞いたこともないとこに行くの?
行ってどうするの、どうなるの?

ため息しか出ない私とは裏腹に、
自分でインターネットを使い情報を集めていく息子。
つい先日まで、生気のない顔をしていたたかぞうが
じゃんじゃんプリントアウトして
私達にプレゼンを始めた。

そうだね。
もう、自分で見つけた「行きたいところ」に行きたいんだよね。
腹を決めた私たちは、正式に高校に編入届をお願いして
高校を辞め、通信制高校へ行かせることにした。
いくつか見学に行き、自宅から通えそうな所を見つけ
無事編入。
教科書は4分の1程度の量になり、
DVDを見たりインターネットで授業を受けたりして
「期限付き」の「プリント」をこなす。

これ、たかぞうのためにあるシステムなんじゃない?
と思えるほど、それらをゆうゆうとこなしていくたかぞうは
今までにないほど楽しそうに見えた。

その様子を見た私たちは、「これが正解だったのかもね」と、
夫婦で久しぶりに笑いあえた。

(つづく)