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45話 「それはある秋の午後 その2」

ペットのトカゲをお供に、たかぞう(仮名)と江津湖へお散歩。
リードをつけて草むらに放つ。

犬なら大喜びのシチュエーションだけど、
トカゲは微動だにしない。

そんな中で、ちょうどいいイスを見つけた私たちは、そこへ腰かけた。

※たまたま残ってたこの日の写真

目の前には夕日に輝く江津湖。
子どもたちの笑い声。気持ちよさそうに日向ぼっこするトカゲ。
シチュエーションはばっちり。
さあ、今だ。

「この前さ、コンビニで本読んでたじゃない? あれ、どうしたの?」
「ああ、なんかネットで色々調べてたら、なんとなく自分にあてはまるかなって」
やっぱりそうか。
たまたまじゃなくて、自分で自覚があって調べて、自分でたどり着いたのか。

「そうなんだ。すごいね。自分で見つけたのね。
…あんたが、アスペルガーの診断を受けたのは5歳の頃だったよ」

「えええええええええええ!?」
たかぞうは、身をのけぞって驚いた。
「えええええ、そこ驚くところ!?」
「だって、本当にそうだと思ってなかったから」

それから、10年間たまりにたまっていた言葉を
ベラベラとまくしたてること1時間。
これまでの事を伝える時に、一番大事にしたのは
「周りの人たちへの感謝の想い」。

やっと。
やっとこの子に伝えられる。
それがうれしくて、もう私の口は止まらなかった。

(つづく)