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44話 「それはある秋の午後 その1」

いつものお散歩の帰り道に寄ったコンビニで、
「アスペルガー」の題のついた本を読んでいたたかぞう(仮名)。

ばくばくと脈打つ心臓を気づかれまいと、
表情を素にしたまま家についた。

※イメージ

帰って来るなり、旦那に駆け寄りひそひそ話。
「見た? 見た!?」
「見た!! びびった!!」
「自分で調べたのかな…」
「高校の件、バイトの件、自分で納得できなかったんだろうね」
「ということは」
「いよいよ、その時が来たということなんだろう」

そう、それは私たちが診断を受けてから、大きな目標に掲げていた
「本人への告知」のタイミングが
とうとうやってきたことを意味する。

大丈夫。
この日のために、シミュレーションし続けてかれこれ10年以上。
沢山の言葉と、あらゆる質問に対しての返答は全て準備してある。

この時を、どれだけ待ち続けたことか。

そして数日後のある秋の午後。
とうとうその日がやってきた。
我が家のペット、フトアゴヒゲトカゲのみちゃこさんをお供に
「たかぞう、今から江津湖にお散歩にいかない?」
と誘った。

(つづく)