初めて読まれる方はコチラ

51話 「ゆっくり、ゆっくり」

願書をなかなか書くことができないたかぞう。
担任の先生にも相談して、学校へ行くたびに
願書を書いては消し、書いては消し。

受付期間の締め切りがいくつか設けてあり、
早い時期だといろいろな特典もついたりするので
とにかく急いで出そうよ!とあせる私とは裏腹に
なかなか進まない。

※イメージ

その上に、「やっぱり違う気がしてきた」と言い始めた。
気?
それって何の気?
どんな気?
焦ってひとりアワアワしている私。

最初に決めていた学校は、高2の頃から何度もオープンキャンパスに
参加していたところで、もうここに行くのだろうと思っていた。

ところが、ここにきてまさかの「ココじゃない」宣言。
狭い熊本で、選択肢がそうあるはずもなく
旦那と必死で他の学校を探し、
他の専門学校へ急いで願書を取りに行き
オープンキャンパスにも転がり込んだ。

「どう? どうなの? ここに変えていいの?」
「う~ん…  まあ…  そうかなあ…?」
とはっきりしない返事。
とにかく期日は迫っている。
入学金が免除になる、特待入試の受付もとうに過ぎた。
このあたりから、なんだか様子がおかしいことに気付いた。

そして、3月。願書受付の最終締め切り日、どこかすっきりした私。
「たかぞう。もう今日締め切りだけど。願書出さなくていいのね?」

「うん。いいよ」

そうだった。ごめんね、また私たち地球のルールを押し付けてた。
たかぞうの時間は、ゆっくりゆっくりなのに一人で焦ってた。
何がたかぞうにとって必要なのか、
何に困って不安なのか、その一番大事なことを聞かずに進めてた。

王子さまの成長とは、ゆっくり長く楽しむものなのだ。

(つづく)