昔、池島に二つの大きい池があったそうだ。その池には雄と雌の龍のそれぞれ住んでいた。
話によると、池には九十九の穴がある。
そして、その穴が百になれば、百個目の穴から龍の飛び立つらしいが、いままでそれを見た者はいない。そして、その龍が飛び立てば、大雨になるらしい。
ある時、雨が降らない日が続いたときがあった。作物が育たないので、食べるものがなく、村人が長い間、飢饉に苦しんだ。
「池島の龍を、飛び立たせれば雨が降ると言われているが、本当だろうか。」
村の長老曰く、池島には[鐘かけ松]て名前の松のあって、そこで鐘をたたけば、何か起こるようで、皆で鐘を叩いて雨乞いをした。
そしたら、不思議な事に空が曇りだして、雨が降り出した。あっというまに嵐になった。急いで鐘を船につんで帰ろうとした時に、高波で船が転覆して鐘は海の中に沈んでしまい、のっていた村人は命からがら岸までやっとのことで泳ぎついた。海の中から鐘が見つかったのは昭和になってからだそうだ。現在、向陽寺に町指定の文化財として保管されている。