【553号】鉄鍋・鉄フライパンで料理をランクアップ
「扱いづらそう」「お手入れが大変」などのイメージを持たれがちな鉄鍋・鉄フライパンですが、少しのケアを続けるだけで一生、使い続けることもできる優れもの。しかも、上手に使えば、普段の料理がよりおいしくなります。日々のお料理をランクアップできる鉄鍋・鉄フライパンの魅力と使い方をご紹介します。
鉄鍋・鉄フライパンのいろは
台所用品のプロと、普段から鉄フライパンを愛用している料理人に、それぞれ鉄鍋・鉄フライパンの魅力や使い方のコツ、お手入れ方法、さらにオススメ料理まで聞きました。意外に簡単に使いこなせそうです。
使い込むほどに使いやすく、世代を超えて引き継げる道具
2年ほど前にテレビ・雑誌などで「鉄製品で調理すると鉄分摂取ができる」と取り上げられたことをきっかけに、当店でも鉄鍋・フライパンのお問い合わせが増えました。さらに、コロナ禍でおうち時間が増えたことにより、最近、再び注目され始めていると感じます。
鉄鍋・フライパンの一番のメリットは、きちんと手入れさえすれば半永久的に使えることです。フッ素樹脂加工のものは、扱いは楽ですが樹脂が剝げてしまうため、寿命は長くて数年。一方、鉄鍋は世代を超えて引き継ぐこともできる道具です。使い込むほどに油がなじんで焦げ付きにくくなり、丈夫で傷に強いので、あおってお玉で思い切りかき回しても大丈夫です。
デメリットは重さと手入れが必要なこと。しかし最近は、独自の加工で油引きなどのお手入れが不要な製品や、鉄を薄くして軽量化したものなど、家庭での使いやすさにこだわった製品も多く出ています。さらにIH対応のものがほとんどなので、家庭に取り入れやすくなっていると思います。
教えてくれたのは
鶴屋百貨店 台所用品売場 木屋ショップ
松原 渚さん
これさえあれば、一生使える 鉄鍋・鉄フライパンのお手入れのコツ
購入直後にやるべきこと
サビ防止のニスが塗られている鉄製品がほとんどなので、そのニスを加熱して取り除く「焼き込み」と、油をなじませる「油ならし」が必須です。製品の形状や種類によって手順が異なるので、購入した商品の説明書きに沿って行いましょう。
普段のお手入れ方法と使い方
最初の1カ月は「油返し」
油が十分になじんでいない最初の1カ月は、使う時に「油返し」が必須。調理前の熱した鉄鍋・フライパンにたっぷり油を注ぎ、全体になじませたら油ポットへ戻します。
調理前の予熱を十分に
鉄の表面温度が80℃以下の状態で調理すると焦げ付きやすくなります。そのため、油を引いた鉄鍋・フライパンから煙が出る寸前(表面温度120〜180℃が理想)まで予熱して調理しましょう。食材を冷凍のまま入れない、食材を入れた後の火力の調整なども注意を。
調理後の洗浄に洗剤はNG
洗剤で洗うとなじませた油が消えてしまうため、お湯とタワシのみで洗いましょう。ゴシゴシこすっても大丈夫。お湯で流したら、火に掛けて水を飛ばすか十分に乾燥させ、薄く油を塗って保管します。
焦げ付きやサビも大丈夫
万が一、焦げ付きやサビが起こっても慌てないで。熱いお湯でふやかしてタワシやヘラでこすったり、水を入れ火に掛けて汚れを浮かせれば取り除けます。重曹やクレンザーで落とすのも◎。
教えてくれたのは
at(アット)
津﨑 淳さん
Instagram @at.nokisaki
TEL:080-6402-0909
料理探求家。家庭を訪問して料理を行う出張シェフや、弁当・オードブルのオーダーなどを請け負っています。フレンチをはじめ、要望に応じた料理をオールマイティーにかわいく、おいしく作ってくれると定評あり。
鉄鍋・鉄フライパン料理はなぜおいしい?
鉄は熱伝導性が高いので、強い火力で調理でき、食材のうま味を手早く閉じ込めて調理できるのが魅力です。プロの料理人はほとんどといっていいほど、鉄の調理器具を使っていると思います。私も、マイ鉄フライパンはすでに十数年使い続けています。
特に、どんな料理が激変する?
「外側はカリッと、中はジューシー」に仕上げたい料理は、鉄鍋類を使うことで激変します。例えば卵料理。目玉焼き、玉子焼きを焼くだけでも、違いを実感できるはずです。そして肉料理。ステーキやハンバーグは、外の香ばしさと中のジューシーさが格別に仕上がります。ギョウザもオススメです。
津﨑さんが教える 鉄鍋・鉄フライパンで作りたい料理
骨付きチキンのトマト煮込み
じっくり染み出すうま味
ジャガイモのガレット
表面パリッ、中ほっくり
バナナのキャラメリーゼ
冬にホットなスイーツ
注目の鉄鍋・鉄フライパン
使いやすさ、機能性、デザイン性などにこだわった最新鉄鍋・鉄フライパンをご紹介。キッチンに1つあるだけで料理が楽しくなりそうなアイテムばかり!
「エンゾウ」鉄フライパン(22cm)/7150円
燕三条(※1)の「エンゾウ」シリーズ。熱がムラなく伝わりやすい厚みと平らな底面。側面の角度が絶妙で使いやすく、デザイン性の高さも魅力。IH可。
※1 燕三条(新潟県)
日本一のキッチン用品の産地。鉄製品も、使い勝手やデザイン性を兼ね備えた洗練された品ぞろえが特徴。
「オイゲン」ニューラウンド万能鍋(27cm)/1万6500円
南部鉄器(※2)老舗メーカーの人気商品。フタを火に掛けて鉄板としても使えるので、鉄鍋・鉄フライパン両方欲しい人に。IH不可。
※2 南部鉄器(岩手県)
江戸時代中期より、岩手県盛岡市周辺で製造されている鉄器。重量感とざらりとした風合いが特徴。アラレ模様の鉄瓶をはじめ、さまざまな鉄器がそろいます。
「ラバーゼ」鉄揚げ鍋セット(28cm)/1万6500円
蓄熱性が高くさびにくい鉄鍋、カゴごと油に入れて2度揚げも簡単の揚げカゴ、油はね防止ネットのセット。簡単においしく揚げられます。IH可。
大人の鉄板 大(約43×22×5.5cm)/1万3200円
熱烈なファンが多い、厚さ4.5mmのずっしり重い鉄板。緩やか・均等に食材に熱を伝え、ステーキなどがプロの仕上がりに。IH可。
【取材協力】鶴屋百貨店 本館5階 台所用品売場
店舗情報
- 住所
- 熊本市中央区手取本町6-1
- TEL
- 096-356-2111
- 店舗ホームページ
- https://www.tsuruya-dept.co.jp/
- 営業時間
- 10時~19時(金・土曜は~19時半)
- 休業日
- HPをご確認ください
- 備考
- 096-356-2111(代表)
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