【566号】すぱいすフォーカス – 春の山菜辞典

春の味覚の代名詞ともいえるのが〝山菜〟。季節を問わず、一年中スーパーで売られている野菜が多い中、山菜だけはこの時季にしか味わうことができない、旬を感じさせてくれる食材です。物産館やスーパーなどで見かけたら、料理に挑戦してみましょう!

この時季にしか味わえない ほろ苦い旬の味覚を楽しむ

山菜といえば、”野山で摘んでくるもの”というイメージを持っている方も多いと思いますが、最近ではタラノメがハウス栽培されるなど、栽培ものも増えてきています。直売所や物産館だけでなく、スーパーなどにも置かれるようになり、昔に比べるとずいぶんと手に入りやすくなりました。ただし、水煮などの加工品の中には輸入物も多く含まれるので、せっかくなら熊本産をチョイスして。山菜は収穫してから時間がたつとアクが強くなるので、できるだけ新鮮なものを選んで、すぐに下処理するようにしましょう。

山菜特有の苦味は、強い抗酸化力や血行促進、代謝促進などの作用を持つポリフェノール類によるもの。冬から春の体へとスイッチを入れるためにも、この時季に食べておきたい食材です。


【セリ】芹

春の七草としてもおなじみの山野菜
特徴

成長すると50cmほどになるが、食べ頃は20cmほどのもの。春先は美味だが、時季を過ぎるとアクが強くて食べられなくなる。

食べ方

さっとゆでた後、水にさらしてアクを抜くと、おひたしや白あえで独特の香りを楽しめる。保存は根元を水に浸した新聞紙などで包み、立てた状態で冷蔵庫へ。


【ゼンマイ】薇

綿毛をかぶった姿がなんともかわいらしい。用途の広さも魅力。
特徴

春の初めにくるくると巻いた胞子葉が伸びる姿を、草原などでよく見かける。この綿毛が残った状態の若い芽をアク抜きして食用とする。ただし、アクが強いので下処理はしっかりと行う必要がある。

食べ方

綿毛を取り除き、水でさっと洗ったら、重曹を入れたお湯でゆでこぼす。これを3回ほど繰り返した後、一晩水に浸しておく。アク抜きしたものは干して乾燥させれば保存も利く。炒め煮や汁物の具、ナムルなどにしてもおいしい。


【タラノメ】楤芽

春の到来を実感させる山菜の王様 天ぷらで味わうほろ苦さが格別
特徴

ウコギ科の落葉低木である、タラの木の茎から出てくる、ふっくらとした芽の部分。全国の山に自生するが、最近はハウス栽培されたものがスーパーなどでも出回っている。開きすぎていないものを選ぶのがポイント。

食べ方

定番の天ぷらにする場合は、アク抜きは不要。さっと洗って水にさらし、そのまま網で焼いて、味噌をつけて食べるのもおすすめ。


【ワラビ】蕨

クセがなく、皆に愛される おなじみの山菜
特徴

春にこぶし状に巻いた若芽をアク抜きして食用とする。すっとまっすぐ伸びるので見つけやすく、ゼンマイとともに、山菜狩りのメインターゲットでもある。こちらもアク抜きは必須。

食べ方

塩ゆでした後、水にさらしてアク抜きを。アク抜きは、重曹を入れたお湯に一晩漬け置いてもいい。煮ると軟らかくなるので、食感を楽しむためにも煮物やみそ汁に入れる場合は、最後に入れる。


【フキ】蕗

香りと食感が最高 煮物に、炒め物に大活躍の山菜
特徴

早春に土の中から顔を出すのが、フキの花茎であるフキノトウ。天ぷらやふきみそで食べられることが多い。一方、地下茎で広がり、葉柄が立ったものを摘み取って、茎の部分を食べるのがフキ。独特の香りとほろ苦さが持ち味だ。

食べ方

茎の部分は、アク抜きをしっかりするのがポイント。7〜8時間水にさらすか、板ずり後に3分ほど下ゆでして筋をむく。ゆで過ぎるとおいしくないので、下ゆでは適度なシャリ感を残して。炒め物や煮物に最適。


【ウド】独活

さわやかな香りとシャキシャキの食感が楽しめ、捨てるとこなし
特徴

ウコギ科の多年草。大きいものは2mにも成長する。茎は短く、香りが強いのが特徴。春の若い芽や、柔らかい葉を食用とする。

食べ方

根元のはかまを外し、太い茎の部分は皮をむいたら、酢水につけてアク抜きを。穂先は天ぷらに、むいた皮はきんぴらがおいしい。茎の部分はスライスし、生もしくはゆでて酢みそあえで。