【596号】食卓ワクワク計画 あなたはお気に入りの茶わんで毎日のごはんを食べていますか?

毎日お世話になっている「ご飯茶わん」。 もっと知ることで、お気に入りの一品と出合えるかもしれません。 熊本市の器ギャラリーの店主・平島美華さんに選ぶ時のポイントを聞きました。

お気に入りのご飯茶わんが食事の時間を楽しくする

ご飯茶わんは、欠けたり割れたりしない限り、なかなか新調しないもの。でも、今使っているご飯茶わんに本当に満足していますか? お茶わんをお気に入りのものにするだけで、毎日の食事がきっと楽しいものになるはずです。

ご飯茶わんは1人につき一つという先入観があるようですが、タイプの異なるものを2~3個用意して使い分けるのがお薦めです。ご飯茶わんには磁器や陶器といった素材の違いだけでなく、デザインや質感、口の広がり方、高台(器の底の台)の高さなどにもバリエーションがあり、選択肢は限りなく広がります。好みやライフスタイルを器の特徴と照らし合わせながら、自分と相性の良いご飯茶わんを探してみましょう。

お話を聞いた人

平島美華さん

熊本市・並木坂の器ギャラリー「くらしのうつわ 月まち」店主。“日常使いできる器”をコンセプトにした器選びの審美眼に定評がある。
Instagram @tsukimachi.life

※掲載している器の価格は変更になる場合があります


[素材で選ぶ]扱いやすい磁器 雰囲気ある陶器、軽い漆

平島さんが薦めるご飯茶わんの素材は、磁器か陶器、漆塗りの木。磁器は食洗機や電子レンジに対応しているものが多く、扱いやすいのが特長です。食事に時間差のある家庭ならご飯をよそってラップをかけ、食べる時に電子レンジで加熱…なんて使い方もできます。陶器の魅力は、土の質感を生かした風合い。吸湿性があり、ご飯の余分な水分を吸って食感をふっくらとさせてくれます。漆わんは軽く、割れにくいので、握力の弱い子どもや高齢の方にもお薦めです。

日々手に取るご飯茶わんだから相性の良いものを選びたい!

磁器

ガラス質を多く含む陶石を原料とし、つるんとなめらかな質感です。吸湿性がほとんどないため、汁気の多いお茶漬けや、油分がある炊き込みご飯をよそうのにも適しています。 

梅山窯 梅野精陶所(愛媛県)

反り四五碗 呉須巻き 1640円

陶器

原料は陶土(粘土)。ごく細かな穴が無数にあるため吸湿性が高く、ご飯の水分を適度に吸ってくれるので、硬めのご飯が好みの方にお薦めです。半面、購入後に目止めする(※)、漬け置きしないなどの注意が必要です。

井銅心平(宇城市)

三島飯碗(小) 2750円

※初めて器を使う際、染み込みを防ぐためにひと晩水に浸してたっぷりと吸水させ、自然乾燥させてから使うこと

木(漆(うるし))の器

漆塗りのわんなど、軽くて熱を伝えにくい木製の器は、炊き立ての熱々ご飯にぴったり。漆色が米粒の白色を引き立てるため、視力が低下している方もご飯と器のコントラストがはっきりしていて箸に取りやすい器です。食洗機、電子レンジは使用できません。

畑漆器店(石川県)

飯椀 卯之松 小豆 4400円

器の個性を見極めるポイント

直接口をつける“口縁”と呼ばれる縁の部分は、厚みや口当たりの違いで印象が大きく変わるもの。各部の形状や機能に着目して、器の個性を見極めましょう。

石田裕哉(阿蘇市)

白磁十角飯碗 4400円


[大きさで選ぶ]食べる量や手の大きさ ご飯の具の有無でセレクト

器を持ち上げて食事をするのが日本食の特徴です。できれば、店頭で実物を手に持って、サイズ感を確かめましょう。重心がぐらつくようであれば、手に対してご飯茶わんが大き過ぎる可能性も。口径が小さく見えても底が広いと持ちづらく感じるし、重さも重要なポイントになります。また、混ぜご飯やちらしずしなど具材の多いご飯用に、大きめの茶わんを用意しておくと重宝します。

使用頻度の高い器は手にしたときの感覚が大切。大きさや重さ、触感など、できれば実物を手にとって、しっくりなじむものを選びたいもの

“ちょうどいい大きさ”を探すのも楽しみ

井銅心平(宇城市)

南蛮飯碗 3300円

胴がふっくらと丸い茶わんは見た目よりも容量が多め

江浦久志(天草市)

鉄絵安南手菊唐草文碗 3630円


[スタイルで選ぶ]形状や色柄は機能性にも関係 高台の高さや仕上げにも注目

器の形状や色柄は、見た目の印象を大きく左右するだけでなく、機能性にも関係しています。例えば、口縁が外に反っているものは口当たりがよく、高台が広くて重心が低いものは倒れにくいのが特長です。「使うシーンを想像して選びましょう。また、内側にも柄があるものは、食べ進めるほどに絵が見えてくる楽しみも味わえますよ」

平島さんが愛用している砥部焼・山中拓実さんの茶わん。陶芸家が自ら手描きした繊細な菊紋柄が、食卓を華やかに演出してくれます

天草陶石など地元の原料にこだわる江浦久志さんの広東型飯碗網目野菊3630円

井銅心平さんの粉引飯碗2200円

高台の大きさや高さも要チェック。「高台の仕上げは、作家の個性が出やすい部分でもあります」と平島さん


[平島さんからの提案]鉢や蕎麦(そば)ちょこにご飯を盛るのもアリ!

平島さんは「ご飯茶わんではない器にご飯を盛ってみるのも気分が変わっていいかも」と提案。小ぶりの鉢にご飯とおかずを盛り合わせてワンプレート風に使ったり、蕎麦ちょこにちらしずしを盛りつけたり…。食卓に生まれる変化を楽しみましょう。「器は使い方に決まりがないのが面白いところ。新米のおいしい季節だからこそ、いつもと違った工夫を—。

蕎麦ちょこに盛った少量のご飯に、明太子やシラス、高菜など好みのトッピングをしてもOK

白磁の縁のある鉢皿に豆ご飯と焼き魚、卵焼きなどを盛り合わせてワンプレート風に


熊本県伝統工芸館で探す 県内陶芸家のご飯茶わん

熊本産の新米を味わうなら、ご飯茶わんも熊本産で地産地消はいかが。熊本県伝統工芸館では、熊本在住の陶芸家が作る器を多数販売しています。学芸員の池田昌一郎さんによると「熊本は産地としての焼き物というより、個人の作家が多いのが特徴。そのため個性的なものがそろいます」とのこと。器選びの相談にも乗ってもらえるので、お気に入りを探してみて!

悠斗窯<人吉市> 青白磁 線彫文飯碗(大) 7700円

よしの木工<小国町> 南郷檜拭き漆おわん(小) 8462円

阿蘇久木野窯 <南阿蘇村> 飯碗 3240円

水の平焼 器峰窯<天草市> 網絵紋飯碗(小)1980円

陶祥窯<錦町> 織部椿碗 2200円

泗水 直子窯<菊池市> ごはん茶碗(白)1540円

熊本県伝統工芸館の学芸員・池田昌一郎さん流 お気に入りのご飯茶わんの探し方

私がご飯茶わんを選ぶ時、基準にしているのは「見た目の好み」「触感」「使い勝手」の3つです。見た目が気に入ると長く使いたくなるし、手触りがよいと持つたびにうれしくなります。毎日のことだから持ちやすさと洗いやすさも大切。熊本(天草)は、日本を代表する陶石の産地なので、ぜひ美しい白磁もチェックを!

池田昌一郎さん

池田さんのマイ茶わん

小代焼ふもと窯
<荒尾市>

お問い合わせ

熊本県伝統工芸館

住所
熊本市中央区千葉城町3‐35
TEL
096-324-4930