【397号】365日使える土鍋、楽しむ土鍋 あれこれ くまもと 土鍋

冬になれば登場回数が増えてくる土鍋。湯気が立つ鍋料理を囲むと、和やかな冬の食卓…という雰囲気ですよね~。土鍋=鍋料理というイメージが強いのですが、実は調理器具としても優れもの。土鍋の魅力をあれこれ探り、土鍋料理のあれこれ、熊本の陶芸家が作る土鍋のあれこれを探してみました!


魅力満載のあれこれ調理器具・土鍋

じっくり料理をおいしくします

「陶芸家が作る土鍋ですが、直火(じかび)はもちろん、オーブンや電子レンジで使用でき、中にはIH対応もあって、すごく使い勝手がよくなっていますね」と県伝統工芸館の坂本尚文さん。さまざまな熱源に対応できる上に、料理をおいしくする効果も高いと教えてくれました。

土鍋の特性でまず挙げられるのが保温性・蓄熱性の高さ。土鍋のような陶器は金属より(温まりやすさや冷めにくさを表す)比熱が約2倍と大きく、一度加熱すると冷めにくいメリットがあります。さらに、陶器を熱することで遠赤外線が放出されます。この遠赤効果で食材を芯から温め、うま味を一層引き出すことができるそうです。

しかし、厚みがある土鍋は熱伝導率が低く、沸騰までに時間がかかるのが難点です。「この難点が、逆に調理に向いていることもありますよ」とは『創作和食ダイニング善』の森井誠さん。じっくり火を通す煮物や蒸し物、炊飯には土鍋が最適だとも。火の通りがやわらかいので、肉や魚を焼いてもふっくらとおいしく仕上がるそうです。

アツアツの土鍋を家族や仲間と取り囲む…。その和気あいあいとした雰囲気がつくれるのも、土鍋の魅力ですね。

土鍋の魅力 5

蓄熱量が高く、保湿性がある
遠赤外線効果がある
保湿性(吸水性)がある
そのまま食卓に出せる
好みの形や風合いが選べる

教えてくれたのは

『熊本県伝統工芸館』
坂本尚文さん

陶芸作家の土鍋は、形や図柄、色合いなど個性もいろいろ。さまざまな熱源にも対応するので、いろんな料理に使ってほしいですね

坂本尚文さん


土鍋の歴史

鍋で調理するようになったのはいつからでしょう? ピンとくるのが“縄文土器”。縄文時代の人々は、狩猟を行い、生肉を食べていましたが、次第に肉を焼き、野菜と一緒に食べるように。食糧を保存したり調理したりするために便利な土器が開発されたといわれています。

土鍋の歴史

直火にできるワケ

陶器は熱によって膨張するため、直火にかけると割れてしまいます。昭和34年、三重県の“萬古焼”の窯元が、陶土にペタライトという鉱物を配合することで耐熱性が上がることを発見。直火でも割れない土鍋を開発したことで、家庭に普及しました。

直火にできるワケ

世界の土鍋

 「土鍋は日本独特の鍋!」って思ってませんか? 探してみたら、アジアやアフリカ、ヨーロッパでも土で作った“土鍋”が活躍しています。

世界の土鍋


土鍋を使った あれこれ料理

鍋料理に欠かせない土鍋は、多彩な料理にも対応可能。料理人の森井誠さんに、簡単にできる土鍋料理を教えてもらいました。

教えてくれたのは

『創作和食ダイニング 善』
森井 誠さん

特性を知れば、土鍋料理の幅もグンと広がります。自宅でのご飯は土鍋で炊いてみませんか。そのおいしさは病みつきになりますよ

森井 誠さん

きのこご飯〜ポン酢バター風味〜

土鍋で炊くご飯は、短時間でふっくらと仕上がるのが魅力。二重蓋(ぶた)になった炊飯専用でなくても、蓋が重たいため普通の土鍋でもOK。

きのこご飯〜ポン酢バター風味〜

土鍋ご飯でできたおこげをおにぎりにして、香ばしいおこげ茶漬けに

冬野菜と鶏肉の酒蒸し

土鍋だと蒸し料理も簡単。季節の野菜や肉を、酒または水を50~100cc加えて火にかけ、野菜がしんなりすれば出来上がり。カキやアサリの酒蒸しもこの要領だとジューシーに仕上がります。

冬野菜と鶏肉の酒蒸し

具材が残ったら、卵とじにしてリメイク!

創作和食ダイニング 善

手間暇かけて育てる生産者自慢の食材を使った創作和食が評判。お値段以上の料理が楽しめる、玉名マダム御用達の一軒です。

店舗情報

創作和食ダイニング 善

住所
玉名市中1591‐8
TEL
0968-74-2898
営業時間
11:30~14:30(OS13:30)、18:00~23:00(OS22:00)
休業日
日曜(応相談)
駐車場
10台

熊本でも土鍋を作っている窯元がいくつも。あれこれどんな土鍋があるのか、訪ねてみました。

毎日使える普段着の土鍋

ー蜩窯(ひぐらしがま)ー

やや深めで蓋のない土鍋は、『蜩窯』で10年以上作り続ける定番の形。黒川温泉の宿でも採用される自信作です。鍋料理に使うだけでなく、煮物やサラダなどを盛り付ける器にするのもおすすめ。料理に使わないときは果物を入れて飾っても絵になります。

蜩窯(ひぐらしがま)

蓋なし土鍋(中)1万4000円

蓋なしの土鍋をはじめ、幾何学模様の蓋付き土鍋、古民家の部材で蓋を作った土鍋など、種類も豊富にそろいます。

土鍋1万8000円、コンロ(小)3000円、ココット皿各1800円

土鍋1万8000円、コンロ(小)3000円、ココット皿各1800円

吉無田高原の森の中に立つ古民家にある『蜩窯』。備前焼や沖縄の南蛮焼を学んだという渡辺ヒデカズさんが作る作品は、普段使いの器でもアートな雰囲気。古民家にぴったりはまる作品が並びます。

渡辺 ヒデカズさん

渡辺 ヒデカズさん

調理して食卓へ多彩な形の土鍋

ココット皿やグラタン皿、フライパン型など、『蜩窯』の土鍋の形は多彩。調理してそのまま食卓に出せるキュートなデザインも人気です。

石窯焼きのピザが味わえるカフェも併設

ギャラリーには、石窯焼きのピザが味わえるカフェも併設

店舗情報

蜩窯(ひぐらしがま)

住所
上益城郡御船町田代吉無田
TEL
096-285-2426
店舗ホームページ
http://higurasigama.com
営業時間
11:00~18:00
休業日
木曜
駐車場
7台

どんな料理も作れる土鍋

ー出窯(いずるがま)ー

寸胴(ずんどう)鍋のような形の土鍋は、磁器で使う呉須で模様を描いた作品。長石や珪石などの石と灰、土で作った釉薬(うわぐすり)をかけていて、柔らかな透明感が魅力です。スープやご飯などの料理にも使え、持ち上げやすいように蓋の裏側にも取っ手があり、使い勝手は抜群。

檜垣文スープ鍋

檜垣文スープ鍋 7000円

モロッコのタジン鍋

『出窯』の展示室で目を引いたのがモロッコのタジン鍋。蒸し料理が手軽に作れ、飾っても素敵な鍋が充実しています。

檜垣文タジン鍋4500円、小土 鍋4500円、黄色のタジン鍋7000円

右から/檜垣文タジン鍋4500円、小土 鍋4500円、黄色のタジン鍋7000円

ミカン畑に囲まれる金峰山の麓に位置する『出窯』。石や土、草木灰、金属などで釉薬を作り、薪を使った穴窯で焼く“焼き締め”の器がメイン。窯の中の火の流れが作る、偶然から生まれた模様が魅力になっています。

出口 文教さん

出口 文教さん

自家製の釉薬で作るやわらかな色合い

石や草木灰などを水にさらして作る釉薬(下写真)。有田焼などで使う呉須で染め付けし、透明の釉薬をかけることで、カラフルな土鍋が生まれるそうです。上の写真は釉薬の焼き上がり見本。

ミカン畑の中に作られた穴窯

ミカン畑の中に作られた穴窯。土鍋は温度を一定にするため電気窯を使うそう

店舗情報

出窯(いずるがま)

住所
熊本市西区西松尾町4137‐1
TEL
096-329-8878
店舗ホームページ
http://www.izurugama-ceramics.com
営業時間
10:00~17:00
休業日
不定
駐車場
5台
備考
※工房への訪問は事前にご連絡を

まだまだあるよ

くまもとのあれこれ土鍋

定番の形から、この冬の新作など、熊本の作家による土鍋もいろいろ。『熊本県伝統工芸館』で見つけた土鍋を紹介します。

ー幻窯(げんよう)ー 合志市

角皿はコンロに乗せてフライパンのように使える土鍋。ごはん鍋と一緒に、毎日の食事づくりに活躍しそう! 写真左から/ごはん鍋(1合)6480円、ミニフライパン4104円。

ー陶祥窯(とうしょうがま)ー 錦町

木の取っ手付きの土鍋は、蓋の穴に差し込んで持ち上げることもできます。写真左から/土鍋1万6200円、1・2人用土鍋5400円。

陶祥窯(とうしょうがま)

店舗情報

熊本県伝統工芸館 「工芸ショップ匠」

住所
熊本市中央区千葉城町3‐35
TEL
096-324-4930
営業時間
9:00~17:00
休業日
月曜(祝日の場合は翌日)
駐車場
20台
備考
※「蜩窯」「出窯」の土鍋の取り扱いもあります ※商品は品切れの場合もあります

土鍋を使う時に…

初めて使う時は

土鍋の特性である「吸水性」は、メリットがある半面、水漏れや臭い、カビの原因になるというデメリットも。これらの問題を予防するのが、使いはじめに行う「目止め」です。

※やり方→米のとぎ汁や大さじ1~2杯の小麦粉を入れた水を弱火~中火でひと煮立ちさせ、冷めるまで放置。冷めたらよく洗って使用。

土鍋使いのNG

・ぬれたまま火にかけない
・天ぷらやフライなどの揚げ物に使わない
・土鍋の中に料理を長時間入れたままにしない

おすすめメンテナンス

■風通しのいい所で完全に乾燥させてから収納
■焦げ付いたら重曹を加えたお湯を入れ、 一度沸騰させてからスポンジで洗う
■臭いがついたら、お湯と酢を入れて一晩 置き、水洗いして自然乾燥。酢の代わりに レモン汁や茶殻でもOK