お正月の祖父母と孫の会話を熊本弁でお楽しみください。
3本立ての(1) 2年ぶり軍団来襲
じいさん
去年なコロナで大ごつだったばってん、ヨカこつもあったなあ。孫にお年玉せびられんで済んだ。
ばあさん
そうなあ、年金暮らしにゃきつかもんなあ。正月にゃかねては寄り付きもせん次男、三男まで子どもば引き連れて来るもん。
早速、次男一家ご到着。
孫1号
ばあちゃん、おめでとう。
お年玉もらいにきたバイ。
孫2号
今年は2年ぶりだけん、特別加算金もあるとだろ。
じいさん
もう来たかい。来るなりお年玉、お年玉しか言わんとだけん。よしよし、お前たちにゃ『特別出さん金』ばやろ。
用語解説
【せびる】
ねだる
【かねて】
日ごろ
3本立ての(2) 顔見せんと、忘るる
ばあさん
正月ばかり来んで、ときのにゃ顔見せんかい。顔もうつ忘りょうてしよる。
じいさん
そぎゃんそぎゃん。だいたいばあちゃん、ばあちゃんて、ばあちゃんの名前と誕生日ぐらい知っとるとかい。じいちゃんが名前も。
孫3号
そぎゃん昔のことは知らーん。そんならじいちゃんは兄ちゃんと私の名前はちゃんと言いきるね?
じいさん
当たり前タイ。『よくはる』と『こすか』だったろ。
孫3号
違うよ、『よしはる』と『あすか』バイ。
じいさん
にくじ、間違えたったい。
用語解説
【ときの】
時々
【うつ忘れる】
うち忘れる、忘れる
【こすか】
ずるい
【にくじ】
この場合は「皮肉で」
3本立ての(3) いくつになっても子は子
じいさん
むぞらしゅうはなかったっちゃ、孫は孫だけん、お年玉なっとやろうタイ。ハイ少なかバッテンね。
孫1号
ありがとう。バッテンおじいちゃんな生活は大丈夫? 高齢者の貧困てよう聞くタイ。
ばあさん
そぎゃんして、ちっとはやさしかところもあるねえ。大丈夫、じいちゃんはきのうお母さんからお年玉ばもらいなはったけん。
孫2号
おじいちゃんのお母さんて、あの百超えた人ね。まーだもらいよっと?
じいさん
しょんなかタイ、やらすとだもん。いくつになっても子は子タイ。
孫2号
なん言いよっとね。もう年も明けたつよ。ことしは丑(うし)年じゃなく寅(とら)年。『モー、たいぎゃー』にしなっせ。
用語解説
【むぞらしい】
かわいらしい
【しょんなか】
しょうがない
【たいぎゃ】
大概。
タイガーのしゃれです。
モーは丑年。
念のため。
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